IT企業のブラック企業の見分け方【未経験・経験者向け】
IT業界で働くという選択肢、長期的な成長が見込めるので基本的には正しいと考えています。
ただし、IT業界であればどの会社でも良いか?と言われればNO!!です。
- 未経験からIT業界を目指そうとしている、
- すでにIT業界で働いているけど…なんか違和感があるんだよな…、
- スキルアップのため転職を視野に入れている
そんな方向けにブラック企業の見分け方について解説します。
顧客、同業他社、協力会社など多くのIT企業で働いている方と会話する機会が多いので、リアルな声から導き出した情報をお届けできるかと思います。
ブラック企業を回避することが、あなたのキャリアアップにとって重要なスキルとなります。
管理人が目撃した超ブラック企業とは…?
過去の現場で、他社から2名ほど自分の会社に転職してもらった経験があります。
当時の2人に共通していた状況が以下の通り、、、
- 年齢は30歳
- IT業界は5年ほど(転職組)
- 年収は200万円代後半と300万円前後
この時点でブラックだということに気付いてほしいんですが…IT業界で30歳の時点で年収200万とか300万って、、よほど能力が低くない限りあり得ません。
環境面でのブラックもありますが、まずは報酬(年収・給与)面が適正がどうかはブラック企業を見分けるポイントの一つです。
なぜIT業界にブラック企業が多いと言われるのか?
なぜ、IT業界はブラックが多いのでしょうか?
理由はさまざまなのですが、人材不足と案件の多重下請け構造が特徴といわれています。
需要と供給が追い付いていないため、常に人材不足です。
また、2次受け、3次受けは当たり前の世界です。
案件の多重下請け構造とは?

- 
元請(大手IT企業(Sler)) がクライアントからシステム開発を受注 
- 
それを 二次請け・三次請け… と下に流していく構造 
- 
最下層のエンジニアに仕事が割り振られるまでに、間に複数の会社が入る 
間に複数の会社が入るということは…それぞれ手数料を取られるため、自分の会社に入ってくる報酬が減ります。
売上が少ないので、残業代を出さなかったり、無理な働かせ方をして利益を確保するケースが横行している訳です。
未経験者は知識が乏しいので、こういった商流を知らずに下請けの下請けといった下流の会社に入りやすい傾向があります。
まずは商流(仕事の流れ)を理解し、できる限り上流(1次受け、2次受けまで)の仕事をしている会社に就職することが重要です。
ブラックIT企業の特徴と見分け方
IT業界におけるブラック企業を見分ける方法5選を解説します。
① 残業時間や休日が不透明
まずは労働環境から。冒頭でも記載したIT土方と揶揄される業界の象徴になっている長時間労働には注意が必要です。
どの業界であっても繁忙期は存在するもの。だから忙しい時期が一定数あることは仕方のないことです。
IT業界における繁忙期とは…
- 納品前(各工程の納品をして検収をもらう時期)
- システムのリリース前
- リリース直後(システム切り替え後)
は忙しくなるケースが多いです。
繁忙期だけでなく、常に高稼働になっている、残業が当たり前、休日出勤もある…こんな企業は避けた方がいいですね。
② 給与が異常に低い or 高すぎる
適正な評価をされているか・してくれるか?も重要です。
その意味では、報酬がスキルに対して適正かどうか、を確認する必要があります。

上記は、SESの会社における平均年収を年代別に表したもの。
ITのSES会社で15年以上勤めている私からしても、妥当かなと思います。最高年収が記載されているのもGoodですね。
設計工程、開発工程、テスト工程をある程度経験ができているのに、上記の年収から著しく低い場合は…ブラック企業認定でもいいですね。
未経験か、経験者か、経験者であれば何年程度どの経験があり、どのスキルをどの程度身に着けているかによって評価は変わってきます。
が、基本的に最低限のプログラミング、設計、製造・テストを一通りスキルがあり、5年程度実務経験があれば年収400万は普通に狙えます。
- 20代:300万
- 30代:400万~500万
- 50代:500万~500万
ざっくりとしたイメージですが、IT業界でまともな会社に就職して経験値を積んで成長できれば上記は目指したい。
というか最低限目指したいレベルかなと。
もし、このラインから大幅に下回っている場合は、転職を視野に入れた方がいいでしょうね。
報酬が競合他社と比べて著しく低い会社は、
- 社員を奴隷としか考えていない(会社は儲かっている)
- 3次、4次、5次受けなど上流での仕事ができていない(会社が儲かっていない)
のどちらかです。
前者の場合は、即転職をした方が良いケース。
後者で今後何とかしようと経営陣が頑張っていて、改善すれば報酬に反映してくれる可能性があるなら続けるのもあり、なレベル。
③ 教育制度がない
教育制度、環境が充実しているかは重要なポイントです。
なぜなら教育する気が無い=成長し続けることができない 企業だと判断できるからです。
この場合は就職先から外す、入社済みなら転職を視野に入れた方がいいでしょう。
なによりも、入社前にある程度はその会社が教育に力を入れているのか?は調査できるので、可能な範囲で確認するようにしましょう。
『OJT(現場)で学べ』という名の元に、経験がないにも関わらず現場に放り投げられて放置されるケースが多いのもIT業界の特徴です。
これがハマるケースもあります。というか、このやり方が一番伸びることが多いのも確か。
その意味では、社内で研修をしている時点ではお金を稼いでいるのではなく、消費している立場。(会社としては投資の段階)
でも、どの程度投資(教育)をすれば一人前になるかは人それぞれなので分からない部分も多い。
④ 案件選択ができない
実は、IT業界の難しい点がこの4点目にあります。
- WEB開発を経験したい
- AI、生成AIのスキルを身につけたい
- クラウド系の案件をやりたい
成長意欲が高い社員だと、最新技術に携わりたいという意識高い子も多いです。
一つの現場が長いと、飽きたので違う現場に移りたいと希望する子も。
SES企業だと、案件は自分で選べずに会社が指定した場所にいくしかないケースも多いです。
私の会社も基本的にはSES事業が軸なので、社員の希望に添えないこともあります。
ただし、これはどの会社であっても、自分の希望が全て通ることはない、ということは理解しておく必要があります。
案件選択におけるブラック企業のポイントとしては、
- 自分の意見が全く通らない・話を聞いてももらえない
- 開発スキルが全く身につかない現場が何年も続く
この2点かなと思います。
先ほど、希望が全て通ることはないと記載しました。
会社が営利企業である以上は、事業の方針が変わることもあるし、今まで付き合ってきた顧客との仕事がなくなることも。
その意味だと、自分が希望している言語・開発スキルの仕事を所属している会社が扱わなくなることもある訳です。
なので、ある程度は会社の意向に従う必要があります。
だからと言って、自分の意見を全く聞いてもらえない、考慮もしてくれないという状況は違います。
可能な限り自分の希望を聞いてもらえる、将来のビジョン(キャリアプラン)を上司に相談しながら現場の調整もしてくれる環境は最低限必要です。
2つ目の開発スキルが全く身につかない現場に放置されるケースも似ています。
よくあるのは、テスト要員として何年も継続すること。
IT業界に入ったのであれば、
- プログラミング
- 開発(製造)
- テスト
- 設計(基本・詳細)
- 上流工程(要件)
は最低限身につけたいもの。
少なくとも、①から順番に経験を重ねてスキルを身につけたいですね。
①~③をある程度経験してスキルが身に着けていれば、ある程度のスキルアップ転職は可能です。
が、先ほども記載した③のテストだけを経験しているだけだと…かなり厳しいです。
⑤ 離職率が高い
離職率が高い企業には要注意です。
まともな企業なら毎年の離職率を数値として公表しているので、入社時に調べておきましょう。
社員数が多いのに、常に求人を出し続けている企業も怪しいですね。
なぜかというと、退職した社員を中途社員、新入社員で埋めようとしている可能性が高いからです。
では、どのように離職率が高い会社を見分けるのか。これはね、難しいところではあるんですが…。
- 口コミサイト(OpenWork、転職会議など)
- 転職エージェント
- SNSで情報収集
これらが有力が方法かと思います。
あと、個人的には、
- 創業から間もないのに社員数が多い
- 吸収合併を繰り返している
- コンサルティングファームという名のSES会社
これらは注意したほうが良いかなと最近思っています。
特に多いのが、小さい会社を吸収合併して即席で作られた大きな会社。
社員数が異常に多いのですが、ホームページで会社の経歴を見てみると、吸収合併を繰り返して大きくなっているだけ。
こういった会社は、一体感が無く、それこそ人が足りなければ合併すればよいという考えがあるので、報酬面も高くないケースが非常に多いです。
離職率も高く、コンサルティングファームという聞こえは良いのですが、実態はSESで現場に放り投げられることがスタンダード。
面接や求人票で確認すべきチェックリスト
転職時など、入社前にチェックしておくべきポイントを以下にまとめます。
100%の情報を事前入手することは難しいかも知れません。(会社も良く見せるために、嘘まではいかなくても盛って話をしてくる前提で聞きましょう。)
- 平均残業時間(月)
- 有給消化率・年間休日
- 研修制度の有無と内容
- 案件選択の自由度
- 社員の平均勤続年数
「すでに働いているけどブラックかも?」と思ったら
以下のような状況が続いているなら、ブラック企業の可能性が高いです。
- 長時間労働の常態化
- 競合他社と比べ明らかな低賃金
- 有給をほぼ使わせてもらえない
- スキルアップの機会が全くない
- パワハラ・精神的圧力が日常的にある
これら1つでも該当する場合は、転職を検討したほうが良いです。
あと、個人的に思うのは、上記に記載した『よくあるブラック企業の特徴』ももちろん判断基準にはなるんですけど、、、
- 相談先できる人がいない
- 尊敬できる人が一人もいない
- 心を許せる仲間が一人もいない
これらの環境が一番ヤバいかも知れません。
結局は人と関わって働いていく訳で…社長(会社)の方向性・未来に共感できない、上司や同僚に一人も心を許して会話ができない、、、こんな環境で働いていても苦痛ですよね。
人間のストレスの9割以上は人間関係って言いますから。
良い人間関係、、まではいかなくとも、一人は最低限一緒に働きたい!と思える人がいる環境が一つの判断ポイントかな、と思います。
その意味だと、直属の上司、所属している部門長の考え方に共感できるか、将来性を感じるか、を考えてみるのもおすすめです。
転職活動にリスクはほとんどありません。
もし、少しでも違和感を感じているなら、まずは転職エージェントにす相談をしてみることをおすすめします。
まとめ:ブラックIT企業を避けてキャリアを築こう
『IT業界のブラック企業はどう見分ければ良いか?【未経験・経験者向け】』をテーマに解説しましたが、いかがでしたか?
冒頭でもお伝えした通り、IT業界はセンスの良い選択肢だとは思います。
何故なら、成長産業で今後も仕事は拡大していく可能性はたかいですから。
ただし、成長産業がゆえ、SES(派遣)メインの会社が乱立し未経験者の奪い合いが続いている業界でもあります。
多重請負で下流工程しか担当できない会社、吸収合併を繰り返して規模は大きいけどコンプライアンス含めグダグダ、低賃金で初心者を奴隷のように働かせる…こんな会社が多くあるのも確かです。
ブラック企業につかまってしまうと…体力的、精神的に追い詰められて適応障害やうつ病になりリタイア…なんて未来もあり得ます。
IT業界には、ブラック企業以上にホワイトな優良企業も沢山あります。
SES(派遣)メインでも、社員の成長に投資をして教育環境が整っていて、上流工程での仕事(1次受け、2次受け)での仕事で、色々な経験ができる会社も多くあるのは間違いありません。
「この会社おかしいかも?」と思った時点で、早めに行動することがキャリアを守る第一歩です。