この記事では『【SES未経験でIT転職を考えているあなたへ』をテーマに解説します。
この記事を読むと分かること。
✅ 未経験にSES転職をおすすめする理由
✅ SESが向く人・向かない人
SESとは?

以下が、SES企業としての一般的な仕事の流れです。

登場人物としては、
- エンド企業(Sler含む)
- SES企業(あなたが就職する企業です)
- エンジニア(あなたですね)
となります。
①のエンド企業が、システム開発などIT関連の仕事を発注します。
②のSES企業は、仕事内容にマッチした人材(③エンジニア)をエンド企業に派遣して客先常駐を行い業務を施行します。
契約としては成果物(例えば、完成したシステムなど)ではなく、派遣したエンジニアの技術力・労働力に対して報酬が支払われる契約です。
そのため、エンジニアのスキルに応じて月の単価が決まり、1か月~3か月単位での契約が結ばれるケースが多いです。
要するに、SES企業としては成果物(システムな)に対しての責任は負わないということです。
そのため、SES企業は納品物責任が無いためシステムが正しく動かなかった場合の訴訟リスクなどを避けることができます。
ただし、スキルが顧客の求めるレベルに達していない、生産性が低い場合には契約打ち切りとなることも珍しくありません。
SES企業の仕事内容

SES企業の仕事内容に関しては、所属する会社、派遣先の企業・仕事内容によりバラバラです。
成長が見込めないテスト業務ばかりの現場もあれば、開発工程をガッツリ経験できる現場もあるし、要件定義など上流工程から開発・テストまで満遍なく経験できる現場もあります。
ただし、一般的なSES企業の場合は、基本設計、詳細設計、製造(コーディング)、単体テスト、結合テスト工程を担当することが多いですね。
プロジェクトにより、開発手法が異なるのですが、主に以下にある『ウォーターフォール開発』『アジャイル開発』に分かれます。
とはいえ、現状は『ウォーターフォール開発』の現場の方が多い印象です。
『ウォーターフォール開発』の場合でいうと、設計~テストまでの工程をSES企業のメンバーが担当するイメージです。

(参考)
上の図をもう少し解説すると、
- 企画(提案、要件定義):どのようなシステムを作り上げる必要があるかヒアリング
- 設計(基本設計):要件定義を元に機能単位で具体的に動きを定義する
- 設計(詳細設計):基本設計を元に、製造・ソースコード作成できる単位で設計書を作成する
- 実装:(製造):詳細設計書をベースにコーディング、ソース作成
- テスト:詳細設計書をベースにソース作成、テストを実施する
といった流れで仕事をする中で、③~⑤をSES企業の社員が担当するイメージですね。
未経験にSESをイチ押しする本当の理由

中小SES企業で16年以上働いてきた素直な意見としては、『初心者(未経験)でIT業界に挑戦するならSESがイチ押し』です。
理由は複数ありますが、一番の理由は行動次第では様々な経験を最速で積むことがで成長できるからです。

上手く回っているSES企業の場合、顧客数も多く案件も多岐にわたっているケースが多いです。
例えば、インフラ案件、WEB開発案件、業務システム開発案件。クラウド案件、AI関連案件、組み込み系案件など、業務的な選択肢が多く、Java、C#、C++、.net…など言語的な選択肢も多くあります。
案件も大規模から小規模まで様々で、短期で小規模案件を対応する期間があれば、中規模、大規模案件を期間を掛けて対応していくことも。
中規模、大規模案件であれば上流工程から下流工程まで経験できる可能性も高く、本当に様々な経験値を積むことが可能です。
SES企業の場合は、タイミングもありますが、新しい業務、新しい言語、新しい環境での仕事が定期的にあります。
SESがブラックだと言われる理由とは?

SES企業をリサーチしていると、
といった悪い噂を目にします。
では、実際にSES企業が全てブラックなのでしょうか?答えはノーです。当たり前ですが…。
ただし、SES企業の中にブラック会社が存在することも確かです。成長産業がゆえ、企業数も多く相対的にブラック企業が多く見えてしまうのも仕方のないことかなと思います。
次に、IT企業の中でSES企業が他の企業(Slerや独自商品開発などの企業)と比べてブラックが多いのか?という疑問。
これも明確に違うと宣言しておきます。
正直、どの業種であってもブラックは一定数いるし、SES企業だからと言ってブラックが特段多いかというと、そんなことは決してありません。
が、一部のSES企業にブラック会社が集中していることも間違いのない事実。その一部のSES企業というのが…多重下請け構造の末端で働いている企業のこと。

この例でいうと、所属(4次請け)の会社ですね。
なぜ、多重請負の末端で働くとブラック企業にヒットする確率が上がるのか?それは、、、次のパートで詳しく解説します。
こんなSES企業は未経験にはおすすめしません!

下の図をご覧ください。IT業界の一番の闇、多重下請け構造を示した図になります。
この中小SES(4時請け以下)は、激務、低収入、成長できない環境の三重苦が多いため避けてください。

また、上記図では4次請けまでしか記載がありませんが、5次請け、6次請け…と言った深い構図も珍しくありません。
階層が深くなれば深くなるほど未経験には辛い環境になることを覚えておいてください。
なぜなら、そういう企業は売上・利益率も低く未経験者を育てる意識もなかったり、そもそも育てる環境が整っていない可能性が高いからです。
研修期間がほとんど無く現場に放り出された… 資格取得の支援制度が無い(書籍購入費など) eラーニングなど学ぶ環境が整備されていない… こざお あなたがもし、こんな教育制度・環境がない会社で働いているなら…[…]
また、テレアポ、書類整理などIT業界とはかけ離れた仕事内容にアサインされる危険性もあります。
せっかくIT企業にチャレンジして「手に職」をつけて高年収を目指せるのに、、まったく成長できない環境では意味がありません。
未経験でIT業界に挑戦するには、成長が欠かせません。そのため、入社する企業が未経験で雇った社員を育てる気があるのか、育てるための環境があるかをチェックすることはとても重要です。
SES企業に就職して失敗する人の特徴

未経験でSES企業転職に失敗する人には3つの明確な特徴があります。
- IT業界の商流を知らずに入社
- やりたいことが明確になっていない
- 環境が変わることが苦手
IT業界の商流を理解していない

商流(仕事の流れ)を理解しておくことはとても重要です。
なぜなら、これまで解説した通りIT業界の問題点は多重下請け構造がまん延していることに起因するケースが多いからです。
これはIT業界に限らずですが、間に人や企業が介在すればするほど手数料が抜かれて利益は残りません。
できる限り間で抜かれる手数料を少なくする、これはビジネスの基本中の基本です。
会社員で雇われの身だと忘れがちですが、ブラックIT企業に搾取されず最短でのキャリアアップを目指すには理解しておくべき内容です。
基本的な商流を理解したうえで、下流の末端でしか仕事ができない企業には就職をしない。可能な限り上流での仕事ができる(受注できる営業力のある会社)会社へ就職することが最も重要なポイントの一つです。
やりたいことが明確になっていない

『IT業界』の中には様々な仕事が存在し、上記図にある通り年収も職種により異なってきます。
未経験だと、この職種を目指したい!と明確に決まっていないことがほとんどだと思います。
ですが、それぞれの概要は理解しある程度は目指すべき道をイメージしておくことが重要です。
例えば、インフラエンジニアとセキュリティエンジニアは全くやることは違います。
企業により、扱っている業種も異なります。
インフラエンジニアを目指したいのに、インフラ案件は対応していない企業に入社してはダメです。
目指すべき技術、エンジニア像をざっくりでもいいからイメージしておくこと。
キャリアプランも考えたうえで転職活動を行い、実現可能な会社を選ぶようにしてください。
環境が変わることが苦手
SES企業の一番の特徴は、現場が定期的に変わること。短いスパンだと、数か月単位で現場が変わることもあります。
そこで問題となるのは『人間関係がリセットされて、新しい環境に馴染む必要がある』ということです。
環境が変わると、少なからずストレスが掛かるものです。そんなストレスを成長できる環境だとプラスに捉えられるか。
逆に、ストレスに押しつぶされて病んでしまうか。この違いがSES企業に就職する上で重要なポイントです。
未経験でもSESで採用される?

結論としては『未経験でも採用される可能性は高い』です。慢性的な人材不足のため、コミュニケーションスキル、意欲があれば評価されることも多いです。
ただし、知識武装をせずに未経験でSES企業に飛び込むと…多重下請け構造の末端企業に就職することになってしまう可能性が高いので注意してください。
業界の知識、商流をある程度知ったうえで、面談に臨みましょう。
SES未経験のメリット・デメリット

未経験でSES企業へ転職するメリット・デメリットを解説しましょう。
メリット
- 未経験でもIT業界に入れるチャンスが大きい
- さまざまな現場を経験できる
- キャリアの最初の一歩として実務経験を積める
未経験でも成長産業であるIT業界に入ることが比較的容易であり、SES企業では様々な現場を経験できることも多いです。
良くも悪くも現場主義。研修期間終了後は客先に常駐して仕事を経験することになります。
IT業界におけるキャリアの第一歩としては、上記パートでも解説した通り最適だと考えています。
デメリット
- 配属先によってスキルが身につかない「案件ガチャ」リスク
- 教育体制が整っていない企業も多い
- 給与が低めに設定されることがある
配属先の部署、アサインされた現場によってスキルが身につかない作業しかやらせてもらえない、俗に言う『案件ガチャ』のリスクがあります。
教育面の体制が整っていない企業も多く、未経験でSESにチャレンジする上でハンデとなります。
研修期間がほとんど無く現場に放り出された… 資格取得の支援制度が無い(書籍購入費など) eラーニングなど学ぶ環境が整備されていない… こざお あなたがもし、こんな教育制度・環境がない会社で働いているなら…[…]
未経験ですから、報酬面が低く設定されることはある程度認識しておいた方が良いでしょう。

ただし、上記の図にある通り、SESエンジニアの平均年収は他業種と比べても低くありません。
1年目、2年目はある程度勉強期間と割り切って、報酬が低めだとしても受け入れる方が無難かも知れませんね。
経験を積んでスキルが付けば上記にある年収ベースは余裕で達成できてきます。
SES業界で失敗しないためのポイント

ここまで解説をしたSES企業の特徴・働き方を理解すれば、ある程度はブラックSES企業を避けることができます。
- 研修制度の有無を確認:入社後に何を学べるかは会社次第です。
- 案件内容を具体的に聞く:テストや監視だけで終わらないキャリア設計が可能かチェック。
- 正社員雇用かどうか:契約形態も必ず確認してください。
これまでの説明で解説した通り、入社する会社の教育制度・方針が未経験SES転職を成功させるカギです。逆にいうと、失敗する原因にもなるということです。
社員を教育し育てていく仕組みがあること、継続して教育への投資が行われていることをチェックしましょう。
入社後にアサインされる案件もポイントの一つです。多重請負構造の末端で開発業務、設計業務にまったく関与できないケースもあります。
多くの顧客を抱えて案件が豊富であるか、上流工程(1次請け、2次請けなど)で仕事ができているかを確認してください。
雇用形態が”正社員”であることも重要です。SES企業の一部ブラック企業には、正社員ではなく個人事業主として契約を行い、仕事がある場合のみ依頼する契約形態のケースもあります。
個人事業主がすべてNGということではなく、未経験SESの場合は正社員として入社することが重要です。
未経験からSESに挑戦する前に準備すべきこと

資格取得
ITパスポートや基本情報技術者試験など、比較的簡単な資格を取得しましょう。学ぶ姿勢、基礎知識があることの証明になります。
✅ 一般的な勉強時間の目安:
| 状況 | 勉強時間の目安 | 
|---|---|
| IT未経験・文系出身者 | 100〜150時間 | 
| IT未経験・理系出身者 | 80〜120時間 | 
| IT初学者だが関連知識あり | 50〜100時間 | 
| 学生(高校・大学)で情報科目を履修している | 30〜80時間 | 
プログラミングの独学

高額なプログラミング教室に通う必要はありません。安価にプログラミングを学ぶ環境がネットにあります。Progateなどを活用し、基礎を習得しておくことをおすすめします。
✅ Java基礎習得にかかる時間(Progateの場合)
| レベル | 内容 | 目安時間 | 
|---|---|---|
| 初級(Java I〜III) | 変数、条件分岐、繰り返し、配列など | 約8〜12時間 | 
| 中級(Java IV〜V) | クラス、メソッド、オブジェクト指向の基礎 | 約8〜10時間 | 
| 総合(Java I〜V) | Javaの基礎文法+OOPの概要までカバー | 約15〜25時間 | 
転職の面接対策
転職を成功させるには、事前の対策が最も重要です。イチオシなのが、面接のプロである転職エージェントにアドバイスをもらうこと。
何事もその道のプロに正解を聞くことが一番の近道です。
キャリアをつなげるためには?

SES企業をステップアップの入り口と考えることもできます。
- 業界未経験でも、比較的入社難易度が低いSES企業からIT業界へチャレンジ。
- 3年~5年程度実務経験を積み、社内教育制度もフル活用して成長を積む。
- その後、社内SEや自社開発企業への転職、さらにフリーランスを目指す。
こんなキャリアプランですね
ただし、個人的にはSES企業で出世を目指す手も一つかなと思います。
正直、社内SE、自社開発企業がホワイトで、SES企業がブラックなのか?と言われればノーですし、年収も大差ありません。
結局はどの業態を選ぶにしても、ホワイト企業を見分けるスキルを身につけておきましょう。
どちらにしても、常に成長し続ける意識、行動することがとても大切です。
まとめ
未経験からIT業界に入る方法としてSESは現実的な選択肢です。ただし、企業選びと学び続ける姿勢がないと「ただの常駐要員」で終わってしまいます。
SESをキャリアの第一歩にして、将来につながるスキルを積み上げていきましょう。