SES未経験でIT転職を考えているあなたへ【現役SES部長の警告】

「SES企業に未経験で入社できるのかな…」

「SESってブラックが多いって聞くけど本当?」

「ITの経験がないけど、SES企業ってどんな仕事内容なの?」

IT部長・こざおです。私は中堅SES企業で19年働き、38歳で最年少部長になりました。そして今、未経験者の採用面談を行う側にいます。

この記事では、採用側の視点で「未経験からSESに入るリアル」を包み隠さずお伝えします。SESをすすめる理由も、避けるべきSESも、両方書きます。


1. SESとは?仕事内容と契約の仕組み

そもそもSESって何ですか?派遣と何が違うんでしょう?
SES(システムエンジニアリングサービス)は、エンジニアの「技術力・労働力」に対して報酬をもらう契約形態。完成したシステム(成果物)に責任を持つ受託開発とは違って、「人を出して働いた分だけもらう」イメージだよ。

SESの登場人物

登場人物 役割
① エンド企業(SIer含む) システム開発などIT関連の仕事を発注する
② SES企業 あなたが就職する会社。仕事にマッチした人材を①に常駐させる
③ エンジニア あなた。②に所属しながら①のオフィスで働く(客先常駐)

エンジニアのスキルに応じて月の単価が決まり、1〜3ヶ月単位で契約が更新されるケースが多いです。SES企業は納品物の責任を負わないため訴訟リスクは低い一方、スキルが顧客の求めるレベルに達していないと契約打ち切りになることも珍しくありません。

仕事内容は「現場次第」

SESの仕事内容は、所属会社・常駐先・案件によってバラバラです。成長が見込めないテスト業務ばかりの現場もあれば、要件定義から開発・テストまで満遍なく経験できる現場もあります。

一般的なシステム開発の流れ(ウォーターフォール型)で言うと、SESエンジニアは以下の③〜⑤を担当することが多いです。

工程 内容 SESの担当
① 企画・要件定義 どんなシステムが必要かヒアリング △(上流案件のみ)
② 基本設計 機能単位で動きを定義 ○
③ 詳細設計 コーディングできる単位で設計書を作成 ◎
④ 実装(製造) 設計書をもとにコーディング ◎
⑤ テスト 単体・結合テストを実施 ◎

2. 未経験にSESをイチ押しする本当の理由

ネットでは「SESはやめとけ」ばかりなのに、こざおさんは未経験にSESをすすめるんですか?
すすめる。中堅SESで19年働いてきた正直な意見として、「未経験でIT業界に挑戦するならSESがイチ押し」。理由は一つ、行動次第で様々な経験を最速で積めるから。

理由①:案件の幅が圧倒的に広い

うまく回っているSES企業は顧客数も多く、案件も多岐にわたります。インフラ・Web開発・業務システム・クラウド・AI関連・組み込み系——業務の選択肢が多く、Java・C#・Python・.NETなど言語の選択肢も豊富です。

これが自社開発企業や社内SEだとどうでしょうか。社内規定で環境や言語は決まっていて、新しい技術を学びたくても業務で触れる機会がありません。SESは「定期的に新しい現場・新しい技術に触れられる」という点で、未経験者の成長スピードが最も速い環境です。

理由②:入口のハードルが低い

慢性的なIT人材不足のため、コミュニケーションスキルと意欲があれば未経験でも採用される可能性が高い業態です。自社開発企業の未経験採用枠は極めて少なく、SIerも新卒中心。未経験の30代がIT業界に入るなら、SESが現実的にほぼ唯一の入口と言っても過言ではありません。

理由③:管理職を目指せば年収1,000万円も現実的

私自身が中堅SESで部長になり、年収1,400万円に到達しています。「SES=年収が低い」は末端のブラックSESの話で、優良な中堅SESなら課長で900万・部長で1,000万超が射程圏内です。詳しくはIT業界で年収1,000万を超えるポジション設計で解説しています。


3. 私が未経験でSESに入ったときの話|研修3日で現場へ

こざおさんも未経験からSESに入ったんですよね?
25歳のとき、派遣会社経由でIT業界に入った。研修は3日(笑)。「Excelってなんですか」レベルで客先に座らされた。あの最初の2週間は人生で一番「場違い」を感じた。

当時はIT人材が極度に不足していて、「とにかく人が来てくれれば」という時代でした。それでも現場に行くと「そういう人が来るもの」として受け入れてくれる空気があり、コードは書けなくても「顧客と話せる」というだけで存在感が出せることに気づきました。

最初の2年は毎晩3時間の勉強。技術は最低限を身につけ、それ以外は営業・接客で鍛えた「話す力」で価値を出す。この分業が、19年後に部長になる起点でした。

技術がなくても「話せる」ことが武器になるんですね。
SESの現場は「コードは書けるけど話せない人」が多い。だから未経験でも、前職で接客や営業をやっていた人は実は有利。技術は後から足せる。

4. SESがブラックだと言われる理由と、避けるべきSES

SES企業をリサーチしていると「SESはブラックだから辞めておけ」という声を必ず目にします。実際にSES企業が全てブラックなのか?答えはノーです。ただし、SESの中にブラック企業が集中している場所があるのも事実です。

ブラックが集中する場所=多重下請けの末端

IT業界の一番の闇は多重下請け構造です。エンド企業→元請け→2次請け→3次請け→4次請け…と商流が深くなるほど、間で手数料が抜かれ、エンジニアの手取りは減ります。

商流の位置 特徴 未経験へのおすすめ度
1次請け・2次請け 単価が高く、上流工程に関われる。教育投資の余裕がある ◎
3次請け 案件次第。良い現場も悪い現場もある ○
4次請け以下 激務・低収入・成長できない環境の三重苦 ×

4次請け以下の企業は売上・利益率が低く、未経験者を育てる意識も環境もない可能性が高い。テレアポや書類整理など、IT業界とかけ離れた仕事にアサインされる危険もあります。

商流の位置って、応募する側から確認できるんですか?
面接で聞けばいい!「主な案件の商流は何次請けが多いですか」「エンド直の案件はありますか」。答えを濁す会社は要注意。優良SESの見分け方は7つのチェックポイントにまとめてあるから、SESはやめとけと言われる理由7選を必ず読んでほしい。

5. 未経験でSESに失敗する人の3つの特徴

① IT業界の商流を知らずに入社する

商流を理解しておくことは最重要です。IT業界の問題の多くは多重下請け構造に起因します。間に人や企業が介在するほど手数料が抜かれ利益は残らない——これはビジネスの基本です。基本的な商流を理解した上で、末端でしか仕事ができない企業には就職しない。可能な限り上流で受注できる営業力のある会社を選ぶこと。

② やりたいことが明確になっていない

IT業界には様々な職種があり、年収も職種で変わります。未経験だと「この職種を目指したい」と明確に決まっていないことがほとんどですが、それぞれの概要は理解し、ざっくりでも目指す道をイメージしておくことが重要です。

例えばインフラエンジニアとセキュリティエンジニアは全く別物です。インフラを目指したいのにインフラ案件がない企業に入ってはいけません。

③ 環境が変わることが苦手

SESの一番の特徴は、現場が定期的に変わること。短いと数ヶ月で現場が変わり、人間関係がリセットされます。

正直、環境がコロコロ変わることに耐えられない性格の人にはSESをおすすめしない。その場合は社内SEや自社開発を目指す方が現実的。自分の性格を正直に見つめることが大事。

6. 未経験でもSESで採用される?採用側の本音

採用する側として、未経験者のどこを見ていますか?
3つ。①コミュニケーション力(現場で顧客と話せるか)、②学ぶ姿勢の証拠(資格・独学の成果物)、③辞めなさそうか(前職の退職理由・キャリアの一貫性)。技術力は正直、未経験には期待していない。

結論として『未経験でも採用される可能性は高い』です。慢性的な人材不足のため、コミュニケーションスキルと意欲があれば評価されます。

ただし、知識武装をせずに飛び込むと、多重下請けの末端企業に就職してしまう可能性が高い。業界知識・商流をある程度知った上で面談に臨んでください。

採用側が「この人は伸びる」と感じるポイント

  • ITパスポートなど、1つでも資格を持っている(学ぶ姿勢の証明)
  • 「なぜIT業界か」「3年後にどうなりたいか」を自分の言葉で言える
  • 前職の経験を「IT業界でこう活かせる」と言語化できる
  • 質問が具体的(商流・研修制度・案件の種類など)

7. 未経験SESのメリット・デメリット

メリット デメリット
未経験でもIT業界に入れるチャンスが大きい 配属先によってスキルが身につかない「案件ガチャ」リスク
さまざまな現場・技術を経験できる 教育体制が整っていない企業も多い
キャリアの最初の一歩として実務経験を積める 1〜2年目の給与は低めに設定されることが多い
管理職ルートなら年収1,000万も射程 現場が変わるたびに人間関係がリセットされる

1〜2年目はある程度「勉強期間」と割り切り、報酬が低めでも受け入れる方が無難です。経験を積んでスキルが付けば、SESエンジニアの平均年収は他業種と比べて決して低くありません。


8. 未経験からSESに挑戦する前に準備すべき3つのこと

① 資格取得(ITパスポート or 基本情報技術者)

比較的取りやすい資格で「学ぶ姿勢」「基礎知識」を証明できます。

状況 ITパスポートの勉強時間目安
IT未経験・文系出身者 100〜150時間
IT未経験・理系出身者 80〜120時間
IT初学者だが関連知識あり 50〜100時間
採用面談でも、資格が全くない人と、ITパスポートでも1つ持っている人では印象が全然違う。「この人は自分で動ける」という信頼になる。

② プログラミングの独学(Progate等)

高額なプログラミングスクールに通う必要はありません。Progateなど安価な学習サービスで基礎を習得しておけば十分です。

レベル 内容 目安時間
初級(Java I〜III) 変数、条件分岐、繰り返し、配列 約8〜12時間
中級(Java IV〜V) クラス、メソッド、オブジェクト指向の基礎 約8〜10時間
総合 基礎文法+オブジェクト指向の概要 約15〜25時間

③ 転職エージェントに相談する

転職を成功させるには事前対策が最も重要です。特に未経験の場合、「ブラックSESかどうか」を自力で見抜くのは困難。IT特化の転職エージェントは企業の内情(商流・還元率・離職率)を把握しているので、無料で相談して情報を得るのが最短ルートです。

未経験者向けのエージェントの選び方は、未経験IT転職におすすめの転職エージェント比較で解説しています。


9. SESから先のキャリアをどうつなげるか

SESに入った後は、どんなキャリアを描けばいいですか?
2つのルートがある。「SESを踏み台にする」か「SESで上を目指す」か。どっちも正解。危険なのは決めずに漫然と続けること。
ルート 内容 向いている人
A:SESを踏み台に転職 3〜5年で実務経験と資格を積み、社内SE・自社開発・フリーランスへ 技術を極めたい人
B:SESで管理職を目指す 営業力×マネジメントで課長→部長。中堅SESなら年収1,000万超も現実的 人と話すのが得意な人

私はBのルートで38歳・最年少部長になりました。正直、「社内SEや自社開発がホワイトで、SESがブラック」という単純な話ではなく、年収も大差ありません。どの業態でもホワイト企業を見分けるスキルを身につけ、常に成長し続ける意識を持つことが全てです。

社内SEの待遇や年収を知りたい方は【社内SE転職ナビ】


10. まとめ|SESは「入口」として最適、ただし会社選びが全て

  1. SESはエンジニアの労働力に対して報酬をもらう契約。仕事内容は現場次第
  2. 未経験にSESをすすめる理由は、案件の幅・入口の低さ・管理職ルートの存在
  3. ブラックSESは多重下請けの末端(4次請け以下)に集中。商流を必ず確認
  4. 失敗する人は「商流を知らない」「やりたいことが不明確」「環境変化が苦手」
  5. 採用側が見るのはコミュ力・学ぶ姿勢の証拠・辞めなさそうかの3つ
  6. 準備は資格1つ・独学・エージェント相談。この3つで末端SESを避けられる
SESの見方が変わりました。「避ける」んじゃなくて「選ぶ」んですね。
その通り。未経験からIT業界に入る方法としてSESは現実的な選択肢。ただし企業選びと学び続ける姿勢がないと「ただの常駐要員」で終わる。SESをキャリアの第一歩にして、将来につながるスキルを積み上げていこう。

次のステップとして、以下の記事も参考にしてください。