「IT転職したら年収が上がる」——よく聞く話ですが、全員が上がるわけではありません。
IT部長・こざおです。私は25歳でIT業界に転職し、38歳で部長になり、今は年収1,400万円を超えています。でも転職してすぐに年収が上がったかというと……正直、最初は下がりました。
この記事では、IT転職における年収の現実を、公的データと私の実際の年収推移をもとに解説します。「上がる人と上がらない人の違い」も含めてお伝えするので、転職を考えている方は参考にしてください。
1. IT転職で年収はどれくらい上がる?公的データで見る現実
厚生労働省「雇用動向調査」によると、転職者全体の賃金変化はおおよそ以下の分布です(年による変動あり)。
| 転職後の賃金 | 割合の目安 |
|---|---|
| 増加した | 約35%前後 |
| 変わらない | 約30%前後 |
| 減少した | 約33%前後 |
つまり転職しても約3人に1人は年収が下がっています。IT業界に限っても、未経験転職の場合は「一時的に下がる」ケースが多数派です。年収アップが「当たり前」ではないことを、まず認識しておきましょう。
年収アップ幅の目安(経験別)
| 転職パターン | アップ幅の目安 | タイミング |
|---|---|---|
| 未経験でIT転職 | −100万〜+50万円 | 1年目は下がり、3年目以降で回復・上昇 |
| エンジニア経験者の転職 | +50万〜+150万円 | 即時 |
| マネジメント職でIT転職 | +100万〜+200万円以上 | 即時〜1年 |
2. こざおの年収推移を全公開|25歳→44歳の19年間
年収推移(概算)
| 年齢 | ポジション | 年収(概算) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 23〜24歳 | リフォーム営業(完全歩合) | 400万円台 | 歩合で波が大きい |
| 25歳 | 派遣会社経由でIT業界へ | 300万円台 | 転職で約100万ダウン |
| 27〜28歳 | 中堅IT企業でSE・10名管理 | 500万円台 | 3年で前職超え |
| 31歳 | PJリーダー(20名管理) | 600万円台 | うつ病で3ヶ月休職 |
| 34歳頃 | シニアSE(課長) | 900万円前後 | 年間1〜2億の売上を継続 |
| 38歳 | 最年少部長 | 1,000万円超 | 売上・利益率を達成し続ける |
| 44歳(現在) | 複数部門の部長 | 1,400万円 | 週3テレワーク・満員電車ゼロ |
※金額は概算です。
ポイントは「25歳の谷」を乗り越えたこと。ここで「やっぱりITは稼げない」と辞めていたら、今の年収はありません。IT転職の年収は、3年目から本格的に伸び始めます。
3. IT転職で年収アップしやすい職種ランキング
IT転職といっても職種によって年収の差は大きいです。特に年収アップしやすい職種を紹介します。
| 順位 | 職種 | 年収の目安 | 文系・未経験との相性 |
|---|---|---|---|
| 1位 | プロジェクトマネージャー(PM) | 700万〜1,200万円 | ◎ コミュ力・責任感が武器 |
| 2位 | ITコンサルタント | 600万〜1,100万円 | ◎ 前職の業界知識が活きる |
| 3位 | セールスエンジニア・IT法人営業 | 500万〜900万円 | ◎ 営業経験者は即戦力 |
| 4位 | Web/バックエンドエンジニア | 500万〜900万円 | △ スキル習得に時間が必要 |
| 5位 | SES管理職(課長〜部長) | 800万〜1,400万円 | ○ 営業力×マネジメントで到達可 |
4. 年収アップできる人の特徴5つ
実際に年収が上がった人と上がらなかった人を比べると、いくつかの明確な違いがあります。
① 転職目的が明確
「とにかくIT」ではなく、「3年後に○○の職種でPMになり、年収○○万を目指す」という明確なキャリアパスを持っている人は年収アップしやすいです。
② 現職のスキルや経験をIT文脈で説明できる
前職が営業・製造・医療・金融など何でも、「IT業界でどう活かせるか」を具体的に言語化できる人は採用されやすく、年収も高くなります。私の場合は「ホスト・営業で鍛えた対人スキル→顧客折衝・チーム管理」でした。
③ 年収交渉を諦めない
提示された額をそのまま受け入れている人が多いですが、転職は年収交渉できる数少ないタイミングです。エージェント経由なら交渉を代行してくれます。
④ 複数の転職エージェントを並行利用する
1社だけのオファーを基準にしていると、市場価値より低く設定されます。複数エージェントを使って比較することで、本来の市場価値がわかります。
⑤ 転職後も学習を継続する
IT業界は技術の進化が速い。入社後も勉強し続ける姿勢がある人は、半年〜1年で昇給・昇格のチャンスをつかみやすいです。
5. 年収アップできない人の特徴4つ
① スキルを磨かずに転職だけに頼る
「IT業界に入ればなんとかなる」という考えで転職すると、スキル不足で低い職位・低い年収からスタートし、そこから抜け出せません。最低限、転職前に半年〜1年の学習期間を設けましょう。
② 1社だけ受けて妥協する
転職活動で1〜2社しか受けていない人は、比較できないためその会社の条件を「適正」と判断してしまいます。最低でも5〜10社は受けるべきです。
③ ブラックSESを見分けずに入ってしまう
SESそのものが悪いのではありません(次章で詳しく)。問題は、多重下請けの末端で単価だけ抜かれる「ブラックSES」に何も知らずに入ること。商流・還元率・案件選択権を確認せずに入ると、年収の天井が低いまま固定されます。
④ 転職後に勉強をやめる
入社したことに安心して学習をやめてしまうと、IT業界では1〜2年で「時代遅れ」になります。年収アップには継続的なスキル更新が必須です。
6. SESでも年収1,000万円は可能|出口戦略の考え方
SESで年収を上げる2つのルート
| ルート | 内容 | 向いている人 |
|---|---|---|
| A:SES内で管理職を目指す | 中堅SES(100〜300名規模)で課長→部長。営業力×マネジメントで年収1,000万超 | 人と話すのが得意・マネジメント志向 |
| B:SESを踏み台に転職 | 2〜3年で実績を積み、自社開発・大手SIer・フリーへ | 技術志向・特定領域を極めたい |
どちらも正解です。危険なのは「どちらも決めずに漫然と続けること」。3年目までに「AかBか」を決めておけば、SESは年収アップの有効な入口になります。
優良SESの見分け方(商流・還元率・案件選択権)は、SESはやめとけと言われる理由7選で詳しく解説しています。
7. 30代からのIT転職で年収アップするには
30代からのIT転職は「遅すぎる」と思われがちですが、実は30代の転職者が最も市場価値を発揮しやすい年代でもあります。
30代の強み
- 前職でのマネジメント経験・チームリード経験がある
- 業界知識(金融・医療・製造など)があり、IT企業側が喉から手が出るほど欲しい人材
- 責任感があり、長期的に活躍してくれると期待される
ポイント:「即戦力感」を前面に出す
30代転職では「入社してから覚えます」ではなく、「前職の経験を活かしてすぐに○○できます」という即戦力アピールが必須。自己PRでは具体的な成果数字を使いましょう。
8. 年収交渉の具体的なセリフ例
「交渉しろ」と言われても何を言えばいいかわからない、という人のために、実際に使えるセリフを紹介します。
パターン①:現職より下がるとき
「大変魅力的なオファーをありがとうございます。ただ、現職の年収が○○万円のため、家族の生活を考えると○○万円でご検討いただくことは可能でしょうか。入社後は前職の○○経験を活かして、早期に貢献させていただきます。」
パターン②:他社オファーがあるとき
「御社が第一志望ですが、他社様から○○万円のご提示をいただいております。同水準でご検討いただければ、すぐにお返事させていただきます。」
パターン③:エージェント経由のとき
「(エージェントに)提示額は○○万円でしたが、△△万円を希望しています。理由は前職経験の○○が御社の△△に直結するためです。交渉をお願いできますか。」
9. 年収アップするための5ステップ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| STEP 1 | 転職エージェントに複数登録し、自分の市場価値を把握する |
| STEP 2 | エージェントのフィードバックをもとに、不足スキルを3〜6ヶ月で補う |
| STEP 3 | 志望動機・自己PRを「私が入ることで○○の価値を提供できる」視点で書く |
| STEP 4 | 複数社並行で選考を進め、オファーを重ねて交渉の余地を作る |
| STEP 5 | 年収交渉を必ず行う(エージェント経由なら代行してもらう) |
10. まとめ|IT転職の年収は「今すぐ」ではなく「長期で大きく」
- 転職で年収が上がる人は約3人に1人。「全員上がる」わけではない
- 未経験IT転職は1〜2年は下がり、3年目から伸びるのが典型パターン
- こざお自身も25歳で100万ダウン→44歳で1,400万円
- 文系・未経験でもPM・コンサル・営業・SES管理職なら高年収を狙える
- SESは「避ける」ではなく「会社を選び、出口戦略を持つ」
- 年収交渉を諦めないこと。採用側の印象は下がらない
次のステップとして、以下の記事も参考にしてください。