「IT転職はやめとけ」
転職を考えて周囲に相談すると、必ずと言っていいほど返ってくる言葉です。友人、家族、ネットの掲示板——どこを見ても「やめとけ」の大合唱。
IT部長・こざおです。私は元ホスト・パチンコ店員・リフォーム営業という経歴から、25歳・パソコンもろくに触れない状態でIT業界に飛び込みました。そして38歳で最年少部長、44歳の今は年収1,400万円です。
でも正直に言います。「やめとけ」には、一定の根拠があります。
この記事では、採用側にいる現役部長として「やめとけ」と言われる本当の理由を隠さず語り、その上で「それでも成功する人」と「本当にやめておくべき人」の違いをお伝えします。
1. IT転職「やめとけ」と言われる5つのリアルな理由
理由①:未経験の「学習コスト」が想像を超える
「入社してから勉強すればいい」——この考えで入ってくる人が一番苦しみます。現場は即戦力を求めており、業務後に毎日2〜4時間の自己学習が当たり前になることも珍しくありません。最初の1〜2年は、睡眠時間を削る生活になる人もいます。
理由②:転職直後は年収が下がることが多い
未経験IT転職の場合、入社後1〜2年目の年収は前職より低くなるケースが大半です。現職400万円の人が、転職後280〜320万円からスタートする例も普通にあります。家族・住宅ローンがある場合は、この「谷」を乗り切る生活設計が必須です。
理由③:ブラックSES企業に引っかかるリスク
IT業界、特にSES(客先常駐)は企業の質が玉石混交です。「未経験可」の求人の中には、スキルが身につかない現場に放り込んで単価差だけを抜く企業も存在します。入口を間違えると、2〜3年を無駄にします。
理由④:多重下請け構造で「搾取されている感」が消えない
SES業界は、エンド企業→元請け→二次請け→三次請け…と商流が深くなるほど、エンジニアの手取りが減ります。自分の単価が80万円なのに給料が25万円、という現実を知ったときのショックは大きい。この構造を理解せずに入ると、「騙された」と感じて辞めていきます。
理由⑤:「35歳限界説」を真に受けて諦める
「IT業界は35歳が限界」という古い言説がまだ残っています。これは**コーディングだけで食っていく場合**の話で、マネジメント・営業・顧客折衝に軸足を移せば全く関係ありません。私が38歳で部長になれたのがその証拠です。ただ、この事実を知らないまま「もう遅い」と諦める人が多いのも事実です。
2. 実体験:元ホストが25歳・PC未経験でIT転職した最初の2年間
少し私の話をさせてください。
こざおの経歴(要約)
| 年齢 | できごと |
|---|---|
| 18歳 | 高卒 → 歌舞伎町でホスト |
| 21歳 | パチンコ店(長時間・肉体労働で疲弊) |
| 23歳 | リフォーム営業(パワハラ・完全歩合で精神的に限界) |
| 25歳 | 派遣会社経由でIT業界へ。研修3日で客先常駐スタート |
| 27歳 | 中堅IT企業へ転職。2年でSE・10名以上のチーム管理 |
| 31歳 | 大規模PJリーダー(20名管理)→ うつ病で3ヶ月休職 |
| 34歳頃 | 復帰後3年でシニアSE(課長)・年収900万円前後 |
| 38歳 | 最年少で部長就任・年収1,000万円超 |
| 44歳(現在) | 複数部門の部長・年収1,400万円 |
研修3日で現場に放り込まれた衝撃
当時はIT人材が極度に不足していて、「とにかく人が来てくれれば」という時代でした。派遣会社の3日研修は、今思えば研修ですらなかった。それでも現場に行くと、意外と「そういう人が来るもの」として受け入れてくれる空気があった。
最初の2年間:毎日3時間の勉強と「話せる力」
コーディングは正直、最後まで得意になりませんでした。それでも生き残れたのは、ホスト・営業で鍛えた「人と話す力」が現場で異常に評価されたからです。
エンジニアの多くは顧客と話すのが苦手です。要件のヒアリング、進捗報告、トラブル時の説明——「話せる人間」というだけで現場での存在感が変わりました。技術は毎晩の勉強で最低限を身につけ、それ以外は「コミュニケーション」で価値を出す。この分業が、私のIT人生の起点でした。
31歳・うつ病で3ヶ月休職
ただ、この休職が私のキャリアを終わらせることはありませんでした。復帰後は「抱え込まない・任せる」を徹底し、3年でシニアSE(課長)、そこから4年で部長へ。「やめとけ」の理由は全部本当だった。でも、それは「終わり」ではなく「乗り越えるもの」だったというのが、19年経った今の実感です。
3. 「やめとけ」が正解だった人|部下で見た失敗パターン3つ
失敗パターン①:「IT=高収入」だけで来た人
「エンジニアは年収1,000万」という記事を見て転職してきた人。入社後の年収300万円と毎晩の勉強に耐えられず、8ヶ月で退職。前職の方が給料が高かったので、完全にマイナスの転職になりました。動機が「お金」だけの人は、年収が上がる前に折れます。
失敗パターン②:スクール卒業=即戦力と思っていた人
プログラミングスクールを卒業し「自分はもうエンジニア」という意識で入社。現場のコードはスクール課題と全く違い、自信を失って半年で離脱。スクールは「入口」であって「到着点」ではありません。
失敗パターン③:「なんでもやります」で職種を決めなかった人
30代半ばで「IT業界ならなんでも」と入ってきた人。器用だったので雑務は任されるが、専門性が育たず3年経っても単価が上がらない。30代以降は「何でも屋」では評価されません。「元営業×ITコンサル」「元事務×PMO」のように、前職との掛け算で勝負する人だけが伸びます。
4. 「やめとけ」を無視して成功した人の5つの共通点
逆に、成功した人にも明確なパターンがあります。
| 共通点 | 内容 |
|---|---|
| ① 職種選びが明確 | 「とりあえずエンジニア」ではなく、自分の経歴を活かせる職種(PMO・ITコンサル・営業・PM)を選んでいる |
| ② 年収ダウンを想定済み | 最初の1〜2年の収入減を事前に計算し、生活設計をしてから転職している |
| ③ 資格・実績で証明している | 「やる気」ではなく「証拠」(資格・ポートフォリオ)で実力を示せる準備をしている |
| ④ 入社後も学習を止めない | 転職がゴールではなく、入社後3年間をキャリア構築への投資期間と位置づけている |
| ⑤ IT専門エージェントを活用 | 求人サイトの一人探しではなく、IT特化エージェントに企業の内情・現場の質を事前確認している |
5. IT転職に向いている人・向いていない人
✅ 向いている人
- 論理的に物事を整理するのが好き
- 前職にビジネス経験(営業・事務・管理・接客など)がある
- 3年後のキャリアを描いて動ける
- 学習を苦と感じない、むしろ好き
- 年収の一時ダウンを許容できる生活設計がある
- 人と話すのが苦にならない(技術者に足りない能力)
⛔ 向いていない人
- 「IT=高収入」というイメージだけで動いている
- 学習が嫌い、できれば避けたい
- すぐに年収を上げたい(2〜3年投資するつもりがない)
- 職種を特定できず「なんでもいい」状態
- スクール修了=即転職できると思っている
6. 後悔しないための「IT転職判断チェックリスト」
以下の項目を確認してみてください。4つ以上チェックできれば、IT転職を前向きに検討してOKです。
- ☐ 狙う職種が決まっている(「エンジニア」ではなく「PMO」「ITコンサル」「営業」など具体的に)
- ☐ 年収が一時的に下がっても1〜2年は耐えられる貯蓄・生活設計がある
- ☐ 資格(基本情報・ITパスポート・AWS CLF等)か独学の成果物(ポートフォリオ)がある
- ☐ 前職のビジネス経験を「IT × ◯◯」の形で活かせるイメージがある
- ☐ IT業界での3〜5年後のキャリアパスをある程度描けている
- ☐ IT専門の転職エージェントに相談済み、または相談予定がある
- ☐ SESの多重下請け構造を理解した上で、優良企業を見分ける基準を持っている
7. それでも迷うあなたへ|最初の一歩の踏み出し方
「やめとけ」と言われて迷っている状態から、最初の一歩を踏み出す具体的な順番です。
| ステップ | 内容 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| STEP 1 | 職種を1つに絞る(PMO / ITコンサル / IT営業 / エンジニア のどれか) | 1週間 |
| STEP 2 | IT特化の転職エージェントに登録して市場価値を聞く(無料・複数社) | 1週間 |
| STEP 3 | ITパスポート or 基本情報技術者の勉強を開始 | 1〜3ヶ月 |
| STEP 4 | 生活防衛資金(生活費3〜6ヶ月分)を確保 | 並行 |
| STEP 5 | エージェント経由で3〜5社に応募 | 1〜2ヶ月 |
STEP 2で「今のあなたにどんなオファーが来るか」を知るだけで、「やめとけ」が本当に当てはまるかどうかが数字でわかります。ここは無料でできるので、迷っているなら最初にやるべきです。
8. まとめ|「やめとけ」は情報、判断はあなた
- 「やめとけ」には5つの根拠がある(学習コスト・年収ダウン・ブラックSES・多重下請け・35歳限界説)
- それでも成功する人は職種選び・準備・継続学習の3点が揃っている
- 失敗する人の共通点は「準備不足」——お金だけの動機、スクール過信、職種未定
- 「IT転職=エンジニア」ではなく、前職経験との掛け合わせが現実的な戦略
- 元ホスト・PC未経験・うつ病休職を経ても、44歳で年収1,400万円に到達できた
- 「やめとけ」は情報として受け取り、判断は自分でするのが正解
次のステップとして、以下の記事も参考にしてください。