案件が終わって、次が決まらない。
出社はしているけれど、やることがない。まわりに聞きづらい。給料はちゃんと出るんだろうか。
この記事は、その待機を「会社側がどう見ているか」から書きます。
私は中堅SESの部長として、自社の社員をどの現場に出すかを決め、協力会社への発注も判断してきました。待機が出たときに、社内で何が話されているのかを知っている側です。
ネットにある待機の記事は、ほとんどが転職エージェントによるものです。悪くはないのですが、「給与は基本的に支払われます」「スキルアップのチャンスです」で終わってしまう。
実際には、そんなに穏やかな話ではありません。
※本記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。
📌 この記事を読むとわかること
- 待機中の給与は満額が当たり前だ、という話
- 会社側は待機をどう見ているか(1ヶ月でもまずい理由)
- 待機が昇給・賞与・上司の評価に響くという現実
- 待機が起きる原因の8割が会社都合である理由
- 待機が長引いたときに、最終的に何が起きるのか
- 待機になったときに、やっておくこと
この記事の要約
待機中の給与が満額でないなら、その会社はあなたを社員として扱っていません。中堅SESの部長が、会社側が待機をどう見ているか、評価にどう響くか、そして原因の8割が会社都合である理由を、決める側の立場から書きました。
結論|まず見るべきは「給与が満額かどうか」
細かい話に入る前に、いちばん大事な判断基準を書いておきます。
待機中に給与が満額出ないなら、その会社はあなたを社員として扱っていません。
弊社では、待機中も給与は満額です。これは温情ではなく、当たり前のことだと考えています。

制度としての最低ライン
一般的な話もしておきます。
会社都合で休業させる場合、労働基準法26条により平均賃金の60%以上の休業手当を支払う必要があるとされています。
ただし待機は通常、雇用契約が続いていて出社も指示されている状態です。この場合は休業ではないので、通常どおりの賃金が支払われるのが基本です。
「待機だから減額」と言われたら、まず就業規則を確認してください。個別の事情については、労働基準監督署や専門家に相談するのが確実です。
会社側は、待機をどう見ているか
ここからが、エージェントの記事には出てこない部分です。
稼働率100%が前提の会社では、1ヶ月でもまずい
SESの売上は、単価 × 稼働した人数で決まります。
弊社は稼働率100%を前提に事業計画を立てています。つまり、1人が1ヶ月待機するだけで、その分の売上が丸ごと消えます。
逆に言うと、待機に対する社内の緊張感は、その会社が数字をどれだけ管理しているかの指標になります。
売上の仕組みそのものはSESの単価はどう決まるのかで、計算式ごと公開しています。
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待機は、評価に響きます
ここは正直に書きます。
エージェントの記事には「待機はスキルアップのチャンス」と書かれていますが、現実には評価に響きます。
具体的には、この3つです。
- 昇給査定
- 賞与(ボーナス)査定
- 直属の上司の評価
本人に落ち度がなくてもです。売上に貢献していない期間があったという事実は、数字として残ります。
だからこそ、待機を「休み」だと思って過ごすのは、いちばんまずい選択になります。
待機中に何をさせているか
これは部署によって違います。
私の部署では、自社開発に入ってもらうことが多いです。客先常駐では経験できない工程に触れられるので、本人にとっても無駄になりません。
会社によっては、研修、資格取得、営業同行などもあります。
一方で、「自習しておいて」で放置する会社もあります。これは待機を会社の問題として捉えていない証拠なので、かなり危ない兆候です。
待機が起きる原因の8割は、会社都合です
ここが、この記事でいちばん伝えたいところかもしれません。
他社の状況も含めて見ている限り、待機の原因は会社都合が8割、本人都合が2割というのが私の肌感覚です。

案件を取れていないのは、上層部と管理職の責任
案件が取れないのは、営業と管理職と経営の責任です。
取引先が少ない。商流が深くて条件の良い案件が回ってこない。単価を上げすぎて決まらない。どれも本人にはどうにもできません。
「今は市況が悪いから」と説明された場合は、半分くらい疑っていいと思います。市況が悪くても、決まっている会社はあります。
スキル不足も、多くは会社の責任です
「あなたのスキルでは、今の案件に入れない」と言われることがあります。
ただ、これも教育コストを払ってこなかった会社の問題であるケースが多いというのが、私の見方です。
未経験で採用しておきながら研修がない。現場に放り込んだきりフォローがない。それで数年経ってから「スキルが足りない」と言われても、本人の責任とは言えません。
教育制度の実態については教育制度・環境が整っているSES企業の見分け方で、自社の研修をコストまで含めて公開しています。
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ただし、本人側に原因があるケースもあります
2割の話もしておきます。
現場での協調性に課題がある。報連相が返ってこない。面談での受け答えに問題がある。
こうしたケースでは、営業が「この人は出しにくい」と判断してしまうことが実際にあります。
心当たりがあるなら、そこは直した方が早いです。何を見られているかはSES面接・客先面談で見られている本当のポイントにまとめました。
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商流が深い会社ほど、待機は起きやすい
待機の話をするときに、あまり語られない構造の話をします。
自分の会社が何次請けにいるかで、待機の起きやすさは変わります。

4次請け以降は、上から降りてくるのを待つ構造
商流が深い会社は、直接の取引先が少なくなります。
案件は上の階層から順に降りてくるので、末端にたどり着く頃には、条件の良いものは埋まっています。残ったものから選ぶしかないうえ、そもそも降りてくる数が少ない。
これは営業の努力の問題ではなく、立っている位置の問題です。
なお、2次請けなのに「1次請けです」と言う会社は珍しくありません。商流の数え方そのものはSESの単価はどう決まるのかで詳しく書いています。
未経験入社直後の待機は、意味が違う
入社してすぐ決まらないケースは、別の問題を含んでいます。
未経験で採用した人をすぐ現場に出せないのは当然です。問題は、その期間を会社が育成に使っているかどうかです。
研修が用意されていれば、それは待機ではなく育成期間です。一方で、何も用意せずに「決まるまで待っていて」となるなら、その会社は最初から育てる気がないということになります。
私自身、25歳で未経験入社したときは研修3日で現場に放り込まれました。今から思えば、あれも育成を放棄していた形です。
SES未経験でIT転職を考えているあなたへに、未経験で入るときの会社選びをまとめています。
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待機が長引いたら、最終的にどうなるのか
先に断っておくと、私の部署では待機が長引いた経験がありません。だからここは、あくまで制度上あり得る話として読んでください。
一般論としては、契約社員への切り替えの打診や、退職勧告まで進む可能性はあります。
ただし、待機が長いことを理由に、会社が一方的に解雇することはできません。日本の法律では解雇の要件は厳しく、案件が決まらないという理由だけで即解雇というのは、制度上まず通りません。
そうなる前に、自分から動いた方が条件は良くなります。
待機になったときに、やっておくこと
待つだけの時間にしないための、具体的な手順です。

1回目は偶然、2回目は構造
判断の目安を一つ挙げておきます。
待機が2回続くなら、それは会社側の構造の問題です。
案件が終わるタイミングは誰にでもあります。ただ、次が用意できないことが繰り返されるなら、その会社は取引先の数か、商流の位置に問題を抱えています。
どういう会社なら待機が起きにくいのかは、良いSES企業・危ないSES企業の見分け方に書きました。
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待機が続く会社にいるなら、在職中のうちに他社の条件を見ておいてください。待機中は時間があるので、動くには悪くないタイミングです。
転職するかどうかは別として、自分の経歴が他社でどう評価されるかを知っておくと、今の会社に残る判断にも根拠が持てます。
よくある質問
Q. 待機中の給料が基本給だけになると言われました
就業規則を確認してください。
そのうえで、それが規定どおりなのだとしたら、会社の考え方がそこに出ています。雇用していながら仕事を用意できない責任を、社員に負わせている状態です。
規定に無いのに減額されているなら、労働基準監督署に相談する対象になり得ます。
Q. 待機中は何をしていればいいですか
会社から指示があるなら、それに従うのが基本です。
指示が何もない場合は、スキルシートの書き直しと、営業へのヒアリングを先にやってください。資格の勉強より効果が早いです。
「何が足りなくて決まらないのか」を営業から具体的に聞き出せると、次の一手が変わります。
Q. 待機が続くとクビになりますか
待機を理由に一方的に解雇することは、制度上まず通りません。
ただし、契約社員への切り替えを打診されたり、退職を勧められたりする可能性はあります。そうなる前に自分から動いた方が、選べる選択肢は多くなります。
Q. 待機は転職のとき不利になりますか
待機期間そのものより、その期間に何をしていたかを説明できるかを見ています。
「案件が決まらず待っていました」で終わる人と、「待機中に自社開発でこういう経験をしました」と言える人では、受け取り方がまったく違います。
採用側としては、待機があったこと自体をマイナスに見ることはあまりありません。会社都合であることが多いと分かっているからです。
まとめ|待機は、会社を見極める時間
最後に整理します。
- 待機中の給与が満額でないなら、社員として扱われていない
- 稼働率を管理している会社なら、1ヶ月の待機でも緊張感がある
- 待機は昇給・賞与・上司の評価に響く。休みだと思って過ごさない
- 原因の8割は会社都合。自分だけを責める必要はない
- スキル不足も、教育コストを払ってこなかった会社の問題であることが多い
- 待機を理由に即解雇はできない。ただし退職を促される可能性はある
- 2回続いたら、会社の構造の問題
待機は、不安な時間です。
ただ、会社があなたをどう扱っているかが、いちばんはっきり見える時間でもあります。給与の出方、営業の説明のしかた、やることが用意されているかどうか。
そこを見たうえで、残るか動くかを決めてください。
SESの内側シリーズ
中堅SESの部長が、決める側と、見られる側の両方から書いています。
単価と待遇
案件と現場
業界の構造