スキルシートはどこまで盛っていいのか|発注側が何を見て、どこでバレるのかを話す

「少しくらい盛っておいた方がいい」

SESの世界では、わりと当たり前のように言われます。営業に言われて書き換えた経験がある人もいるはずです。

 

発注側として、何百枚もスキルシートを見てきた立場から書きます。

私は中堅SESの部長として、協力会社から提案されてくるエンジニアのシートを見て、面談するかどうかを決めています。同時に、自社の社員を送り出す側でもあります。

先に言っておくと、盛るのはおすすめしません。ただ、それ以上に伝えたいことがあります。

 
盛っている人より、「書き方が下手で損している人」の方がずっと多いのです。

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📌 この記事を読むとわかること

  • 発注側がスキルシートのどこを、どの順番で見ているか
  • 盛った内容が、どこでバレるのか
  • 盛ったまま現場に入った人が、その後どうなるか
  • 経歴書を書き換えられて現場に出された、私自身の話
  • 盛る人より多い「書き方が下手で損している人」の典型
  • 通るスキルシートの作り方

この記事の要約

スキルシートの虚偽は、面談で書いてある内容を質問された時点でほぼ崩れます。発注側として何百枚も見てきた中堅SESの部長が、最初に見る3点、バレ方、そして盛る人より多い「書けていない人」の損を解説します。

結論|虚偽は全部アウト。ただし問題の本体はそこではない

私の立場をはっきり書いておきます。

虚偽の内容は、程度にかかわらずすべてNGです。「許容範囲」と「アウト」の線引きをしてほしいと言われることがありますが、線は引けません。

理由は単純で、業界に虚偽があまりに多いからです。多少の盛りを許容すると、際限がなくなります。

「2年経験あり」と書かれたシートが来て、面談したら半年も触っていなかった。こういうことが普通に起きます。だから、こちらは最初から疑って見るようになる。真面目に書いている人が損をする構造なんです。

そのうえで、この記事の本題はここからです。

 

盛らずに、正しく書くだけで通過率は上がります。そこができていない人が、本当に多い。

発注側は、スキルシートのどこを最初に見るか

まず、見ている順番を公開します。

発注側がスキルシートを見る順番
発注側がスキルシートを見る順番

① 資格を持っているか

意外に思われるかもしれませんが、最初に見ます。

資格そのものが実務で役に立つとは思っていません。見ているのは、学ぼうとした形跡があるかどうかです。

 

何も持っていない人と、基本情報を持っている人。同じ経験年数なら、後者から面談します。

② 経験年数

募集の要件に届いているかを、ここで判断します。

機械的な足切りに近い見方です。だからこそ、年数の水増しはすぐ検証されます。後で書きますが、面談で必ず掘られます。

③ 経験している業務

工程、業界、規模。ここが合っていれば面談に進みます。

 
この3つを見ている時間は、1分もありません。何十枚も来るので、そこで引っかからないシートは読み込まれずに終わります。

盛っているのは、どこでバレるか

バレ方は、だいたい2つです。

面談で、書いてあることを質問される

面談でこちらがやるのは、シートに書いてあることを、そのまま聞くことだけです。

「この工程では、具体的に何を担当されましたか」「この技術は、どのくらいの規模で使いましたか」

 

書いていない人には何も聞けません。書いた人にだけ聞きます。盛った部分は、ここで必ず引っかかります。

うまくごまかせる人もいるんじゃないですか?
答えが返ってこない、あるいは答えの意味が通らない。このどちらかになります!経験していないことを、経験したように話すのは無理なんです。

何を見られているかはSES面接・客先面談で見られている本当のポイントにまとめました。

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現場に入ってから

面談を通ってしまっても、現場でバレます。

スキル不足は、数週間で分かります。そして、そのときには会社間の信頼問題になっています。本人だけの問題では済みません。

盛ったまま現場に入った人は、その後どうなるか

実際に見てきた結果を書きます。

 
ほとんどが、数ヶ月で切られます。

契約が更新されない。次の案件も決まりにくい。経歴に短期の空白が並ぶことになります。

盛ったときに、こう回る
盛ったときに、こう回る

しかも、次の案件を決めるためにまた盛る、という循環に入りやすい。これが一番こわいところです。

契約が切られる判断についてはSES契約を切られる人・切られない人に書きました。

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ただし、盛り返した人もいます

公平のために書いておきます。

中には、入ってから死ぬ気で埋めて、評価されて長期間継続になったケースもあります。

ただ、これは本人の努力の話であって、盛ることの正当化にはなりません。同じ努力を、入る前にしておけば良かっただけです。

私自身、経歴書を書き換えられて現場に出されました

偉そうに書いていますが、私自身がやられた側です。

25歳で未経験入社した最初の会社は、研修が3日でした。そして面談に持っていったのは、「2年ほど経験あり」と書き換えられた経歴書です。

口だけは達者だったので面談は通過し、翌日から金融系の開発現場に一人で放り込まれました。

周りが何を話しているのか半分も分かりません(笑)。脇に汗をかきながら座っていた記憶があります。20年前は今以上に売り手市場で、未経験でも引く手あまただったんです。

結果として、コミュニケーションだけで何とか乗り切って、少しずつスキルを身につけました。

 

ただ、これは運が良かっただけです。普通は数ヶ月で切られます。そして書き換えたのは会社であって、責任を取らされるのは現場に立つ本人です。

そのときの詳しい経緯は教育制度・環境が整っているSES企業の見分け方に書いています。

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それより多いのが「書き方が下手で損している人」

ここからが、この記事でいちばん伝えたいところです。

盛っている人より、持っている経験をちゃんと書けていない人の方が、圧倒的に多いです。

募集案件に必要なスキルが、書かれていない

いちばん多いパターンです。

募集されているのは設計の経験がある人なのに、送られてくるシートには設計の記述が一行もない。聞いてみたら実は経験があった、ということが普通に起きます。

 

これは、盛るより深刻な損です。実力があるのに、見てもらえずに落ちている。

募集内容を読んでいないから、説明できない

面談で「なぜこの案件に応募されたのですか」と聞くと、答えが出てこない人がいます。

募集内容を事前に読んでいないのです。営業から言われて来ただけ、という状態が伝わってきます。

これは本人の問題だけではなく、送り出す会社の問題でもあります。ただ、困るのは落ちる本人です。

募集文を読めば、何が必要かは書いてある

相手の立場で募集文を読むと、どんな案件で、どんなスキルを必要としているかは分かります。

そこを読んだうえで、自分のシートに足りない記述を追記・修正しておく。これだけで通過率が変わります。

嘘を足すのではなく、本当にやったことのうち、相手が知りたい部分を前に出す。やっているのはそれだけです。

通るスキルシートの作り方

具体的な手順にします。

通るスキルシートの作り方
通るスキルシートの作り方

「どこまでやったか」を正直に書く方が、信用されます

設計を「担当した」と書くか、「設計補助として仕様検討に参加した」と書くか。

後者の方が、面談での評価は上がります。誇張していないことが伝わるので、他の記述も信用されるからです。

盛ったシートは、一箇所崩れると全部が疑わしくなります。正確なシートは、一箇所弱くても全体が信用されます。

案件ごとに書き直す

同じシートを使い回していると、こちらには伝わります。

募集内容と噛み合っていない記述が並んでいるからです。面倒でも、案件ごとに順番を入れ替えるだけで印象が変わります。

よくある質問

Q. 営業に「こう書いておいて」と言われたら、どうすればいいですか

事実と違うことを書くよう指示されたなら、それは断っていい内容です。

現場で責任を取らされるのは、書いた営業ではなく、そこに座るあなたです。

繰り返し言われるようなら、その会社の姿勢を疑った方がいいと思います。

Q. 未経験の期間は、どう書けばいいですか

研修や自習の内容を、具体的に書いてください。

「独学」ではなく「何を、どのくらいの期間、どこまで作ったか」です。成果物があるなら、それを書く。未経験であること自体は、隠す必要がありません。

何をどの順番で学ぶかは未経験IT転職の学習ロードマップにまとめています。

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未経験IT転職の学習ロードマップ|資格・独学・スクールの順番と期間を採用側が解説

Q. 資格は本当に見られていますか

見ています。ただし、資格の中身ではなく「学ぼうとしたかどうか」を見ています。

同じ経験年数の2人が並んだとき、片方だけが資格を持っていれば、そちらから面談します。それだけの差ですが、面談に呼ばれなければ何も始まりません。

Q. 自分のシートが適切か、誰に見てもらえばいいですか

社内の営業やリーダーに見てもらうのが第一です。

ただ、自社の基準しか知らない人に見てもらっても、限界があります。他社の目を一度入れておくと、書き方の癖が分かります。

自分のスキルシート、他社の目で見てもらったことはありますか

社内の基準だけで判断していると、書き方の癖に気づけません。職務経歴書を第三者に見てもらうだけでも収穫があります。

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転職するかどうかは別として、職務経歴書を他社基準で見てもらうこと自体に価値があります。

まとめ|盛らなくていい。書いていないことを書く

整理します。

  • 虚偽は程度にかかわらずアウト。業界に多すぎるので、線は引けない
  • 発注側が最初に見るのは、資格・経験年数・経験業務の3つ。見ている時間は1分もない
  • 盛った部分は、面談でシートの内容を質問されるとほぼ必ず崩れる
  • 盛って入った人のほとんどは数ヶ月で切られ、経歴に短期の空白が並ぶ
  • 盛る人より、持っている経験を書けていない人の方が多い
  • 募集文を読めば、何を書き足すべきかは分かる
  • 「どこまでやったか」を正確に書く方が、結果的に信用される

スキルシートは、自分を大きく見せる書類ではありません。

 
相手が知りたいことに、正確に答える書類です。そう考えて書き直すだけで、通過率は変わります。