「少しくらい盛っておいた方がいい」
SESの世界では、わりと当たり前のように言われます。営業に言われて書き換えた経験がある人もいるはずです。
発注側として、何百枚もスキルシートを見てきた立場から書きます。
私は中堅SESの部長として、協力会社から提案されてくるエンジニアのシートを見て、面談するかどうかを決めています。同時に、自社の社員を送り出す側でもあります。
先に言っておくと、盛るのはおすすめしません。ただ、それ以上に伝えたいことがあります。
盛っている人より、「書き方が下手で損している人」の方がずっと多いのです。
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📌 この記事を読むとわかること
- 発注側がスキルシートのどこを、どの順番で見ているか
- 盛った内容が、どこでバレるのか
- 盛ったまま現場に入った人が、その後どうなるか
- 経歴書を書き換えられて現場に出された、私自身の話
- 盛る人より多い「書き方が下手で損している人」の典型
- 通るスキルシートの作り方
この記事の要約
スキルシートの虚偽は、面談で書いてある内容を質問された時点でほぼ崩れます。発注側として何百枚も見てきた中堅SESの部長が、最初に見る3点、バレ方、そして盛る人より多い「書けていない人」の損を解説します。
結論|虚偽は全部アウト。ただし問題の本体はそこではない
私の立場をはっきり書いておきます。
虚偽の内容は、程度にかかわらずすべてNGです。「許容範囲」と「アウト」の線引きをしてほしいと言われることがありますが、線は引けません。
理由は単純で、業界に虚偽があまりに多いからです。多少の盛りを許容すると、際限がなくなります。
そのうえで、この記事の本題はここからです。
盛らずに、正しく書くだけで通過率は上がります。そこができていない人が、本当に多い。
発注側は、スキルシートのどこを最初に見るか
まず、見ている順番を公開します。

① 資格を持っているか
意外に思われるかもしれませんが、最初に見ます。
資格そのものが実務で役に立つとは思っていません。見ているのは、学ぼうとした形跡があるかどうかです。
何も持っていない人と、基本情報を持っている人。同じ経験年数なら、後者から面談します。
② 経験年数
募集の要件に届いているかを、ここで判断します。
機械的な足切りに近い見方です。だからこそ、年数の水増しはすぐ検証されます。後で書きますが、面談で必ず掘られます。
③ 経験している業務
工程、業界、規模。ここが合っていれば面談に進みます。
この3つを見ている時間は、1分もありません。何十枚も来るので、そこで引っかからないシートは読み込まれずに終わります。
盛っているのは、どこでバレるか
バレ方は、だいたい2つです。
面談で、書いてあることを質問される
面談でこちらがやるのは、シートに書いてあることを、そのまま聞くことだけです。
「この工程では、具体的に何を担当されましたか」「この技術は、どのくらいの規模で使いましたか」
書いていない人には何も聞けません。書いた人にだけ聞きます。盛った部分は、ここで必ず引っかかります。
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現場に入ってから
面談を通ってしまっても、現場でバレます。
スキル不足は、数週間で分かります。そして、そのときには会社間の信頼問題になっています。本人だけの問題では済みません。
盛ったまま現場に入った人は、その後どうなるか
実際に見てきた結果を書きます。
ほとんどが、数ヶ月で切られます。
契約が更新されない。次の案件も決まりにくい。経歴に短期の空白が並ぶことになります。

しかも、次の案件を決めるためにまた盛る、という循環に入りやすい。これが一番こわいところです。
契約が切られる判断についてはSES契約を切られる人・切られない人に書きました。
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ただし、盛り返した人もいます
公平のために書いておきます。
中には、入ってから死ぬ気で埋めて、評価されて長期間継続になったケースもあります。
ただ、これは本人の努力の話であって、盛ることの正当化にはなりません。同じ努力を、入る前にしておけば良かっただけです。
私自身、経歴書を書き換えられて現場に出されました
偉そうに書いていますが、私自身がやられた側です。
25歳で未経験入社した最初の会社は、研修が3日でした。そして面談に持っていったのは、「2年ほど経験あり」と書き換えられた経歴書です。
口だけは達者だったので面談は通過し、翌日から金融系の開発現場に一人で放り込まれました。
結果として、コミュニケーションだけで何とか乗り切って、少しずつスキルを身につけました。
ただ、これは運が良かっただけです。普通は数ヶ月で切られます。そして書き換えたのは会社であって、責任を取らされるのは現場に立つ本人です。
そのときの詳しい経緯は教育制度・環境が整っているSES企業の見分け方に書いています。
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それより多いのが「書き方が下手で損している人」
ここからが、この記事でいちばん伝えたいところです。
盛っている人より、持っている経験をちゃんと書けていない人の方が、圧倒的に多いです。
募集案件に必要なスキルが、書かれていない
いちばん多いパターンです。
募集されているのは設計の経験がある人なのに、送られてくるシートには設計の記述が一行もない。聞いてみたら実は経験があった、ということが普通に起きます。
これは、盛るより深刻な損です。実力があるのに、見てもらえずに落ちている。
募集内容を読んでいないから、説明できない
面談で「なぜこの案件に応募されたのですか」と聞くと、答えが出てこない人がいます。
募集内容を事前に読んでいないのです。営業から言われて来ただけ、という状態が伝わってきます。
これは本人の問題だけではなく、送り出す会社の問題でもあります。ただ、困るのは落ちる本人です。
募集文を読めば、何が必要かは書いてある
相手の立場で募集文を読むと、どんな案件で、どんなスキルを必要としているかは分かります。
そこを読んだうえで、自分のシートに足りない記述を追記・修正しておく。これだけで通過率が変わります。
通るスキルシートの作り方
具体的な手順にします。

「どこまでやったか」を正直に書く方が、信用されます
設計を「担当した」と書くか、「設計補助として仕様検討に参加した」と書くか。
後者の方が、面談での評価は上がります。誇張していないことが伝わるので、他の記述も信用されるからです。
盛ったシートは、一箇所崩れると全部が疑わしくなります。正確なシートは、一箇所弱くても全体が信用されます。
案件ごとに書き直す
同じシートを使い回していると、こちらには伝わります。
募集内容と噛み合っていない記述が並んでいるからです。面倒でも、案件ごとに順番を入れ替えるだけで印象が変わります。
よくある質問
Q. 営業に「こう書いておいて」と言われたら、どうすればいいですか
事実と違うことを書くよう指示されたなら、それは断っていい内容です。
現場で責任を取らされるのは、書いた営業ではなく、そこに座るあなたです。
繰り返し言われるようなら、その会社の姿勢を疑った方がいいと思います。
Q. 未経験の期間は、どう書けばいいですか
研修や自習の内容を、具体的に書いてください。
「独学」ではなく「何を、どのくらいの期間、どこまで作ったか」です。成果物があるなら、それを書く。未経験であること自体は、隠す必要がありません。
何をどの順番で学ぶかは未経験IT転職の学習ロードマップにまとめています。
「未経験からIT転職したいけど、何から勉強すればいいかわからない」 「資格?プログラミング?スクール?順番がわからない」 IT部長・こざおです。私は25歳・PC未経験で派遣会社経由でIT業界に入り、研修3日で現場に出ました。今は[…]
Q. 資格は本当に見られていますか
見ています。ただし、資格の中身ではなく「学ぼうとしたかどうか」を見ています。
同じ経験年数の2人が並んだとき、片方だけが資格を持っていれば、そちらから面談します。それだけの差ですが、面談に呼ばれなければ何も始まりません。
Q. 自分のシートが適切か、誰に見てもらえばいいですか
社内の営業やリーダーに見てもらうのが第一です。
ただ、自社の基準しか知らない人に見てもらっても、限界があります。他社の目を一度入れておくと、書き方の癖が分かります。
自分のスキルシート、他社の目で見てもらったことはありますか
社内の基準だけで判断していると、書き方の癖に気づけません。職務経歴書を第三者に見てもらうだけでも収穫があります。
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転職するかどうかは別として、職務経歴書を他社基準で見てもらうこと自体に価値があります。
まとめ|盛らなくていい。書いていないことを書く
整理します。
- 虚偽は程度にかかわらずアウト。業界に多すぎるので、線は引けない
- 発注側が最初に見るのは、資格・経験年数・経験業務の3つ。見ている時間は1分もない
- 盛った部分は、面談でシートの内容を質問されるとほぼ必ず崩れる
- 盛って入った人のほとんどは数ヶ月で切られ、経歴に短期の空白が並ぶ
- 盛る人より、持っている経験を書けていない人の方が多い
- 募集文を読めば、何を書き足すべきかは分かる
- 「どこまでやったか」を正確に書く方が、結果的に信用される
スキルシートは、自分を大きく見せる書類ではありません。
相手が知りたいことに、正確に答える書類です。そう考えて書き直すだけで、通過率は変わります。
SESの内側シリーズ
中堅SESの部長が、決める側と、見られる側の両方から書いています。
単価と待遇
案件と現場
業界の構造