「生成AIでSESの仕事はなくなるのか」
よく聞かれます。予測の話をする記事は多いのですが、実際に案件を受ける側で、何が起きているかを書いた記事は少ないと思います。
私は中堅SESの部長として、大手ベンダーやその子会社から案件を受け、協力会社に発注もしています。商流の真ん中にいるので、上から降りてくる案件の量と質が、そのまま見えます。
先に結論を書きます。
2026年に入ってからの変化が、著しいです。
単価が下がったという話ではありません。案件そのものが減りました。
※本記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。
📌 この記事を読むとわかること
- 2026年に入って、どの工程の案件が減ったのか
- 逆に増えている案件と、上がっている単価
- 工程ごとに、AIの影響がどれだけ違うか
- 3年後、SESのビジネスモデルがどうなると見ているか
- 特に厳しくなるのは、どういう会社か
- 生き残るために必要な4つのこと
- 今いる会社を見極める2つの視点
この記事の要約
2026年に入って、設計・開発・テスト工程の案件が明らかに減りました。単価が下がったのではなく案件そのものが消えています。商流の真ん中で案件を受け発注もしている中堅SESの部長が、工程ごとの影響と3年後の見通し、生き残る条件を書きました。
結論|設計・開発・テストの案件が、明らかに減った
実際に起きている変化を、そのまま書きます。

減ったのは、設計・開発(製造)・テスト工程の新規案件と増員案件です。
増えたという実感があるのは、AIコンサル関連と、上流工程(要件定義・企画)です。
単価はどう動いているか
工程によって逆方向に動いています。
AIで代替できる開発・テストは、単価が下がったというより案件自体が減りました。一方で、上流工程の単価は上がっています。
つまり、人が余っている領域と、足りない領域が同時に存在している状態です。
単価がどう決まるかの構造はSESの単価はどう決まるのかで、計算式ごと公開しています。
「自分の単価っていくらなんだろう」 SESで働いていて、一度は思ったことがあるはずです。そして多くの場合、会社は教えてくれません。 IT部長・こざおです。中堅SES企業で19年。今は部長として、顧客と契約金額を交渉し、協力会社へ[…]
工程ごとに、影響はまったく違う
「SESが危ない」とひとくくりにされがちですが、実態は工程によってまるで違います。

左下にいると、次の案件が決まりにくい
開発とテストの作業が中心で、指示された範囲をこなす働き方。ここが最も影響を受けています。
案件が減っているので、同じスキルでも次の現場が決まりにくくなります。
案件が決まらない状態が続いたときに会社側で何が起きるかは、待機の記事に書きました。
右上は、むしろ人が足りていない
上流工程とAIコンサルは、引き合いが増えています。
ここで求められるのは技術力そのものではなく、業務を理解して、提案ができることです。単価も上がっています。
3年後、SESのビジネスモデル自体が厳しくなる
ここからは見通しの話です。
私は、これまでのSESのビジネスモデル自体が厳しくなると考えています。
特に厳しいのは、社員と協力会社(BP)の人売りで売上を作ってきた会社です。
理由|多くの要員は、AIで代替できる働き方をしている
はっきり書きます。
多くの要員は、言われたことだけをやる技術者です。そして、その働き方はAIで代替が可能です。
これは商流の下にいる会社ほど深刻です。上から降りてくる案件を待つ構造なので、上流で案件が止まれば、末端には何も来ません。
自分の会社がどこにいるかは中堅SESは大手ベンダーから何を見られているかで確認できます。
では、何をすれば生き残れるのか
評価する側から見て、必要だと思うことを挙げます。

1つ目が、すべての前提です
主体性です。
言われたことだけをやる役割から抜けられるかどうか。ここが出発点で、ここが動かないと他の何をやっても効きません。
逆に言えば、指示待ちの働き方をしている限り、AIと同じ土俵に立ち続けることになります。
業務知識は、前職の経験も武器になる
上流工程で求められるのは、業務を理解していることです。
これは新しく学ぶだけでなく、前職の経験がそのまま使える領域でもあります。経理をやっていた、製造現場にいた、営業だった。その知識は、AIが持っていないものです。
未経験からの転職で何が評価されるかは30代未経験からIT転職は厳しい?にも書いています。
[word_balloon id="unset" src="https://kozao.jp/wp-content/uploads/2026/04/Gemini_Generated_Image_4vjs7p4vjs7p4vjs.png"[…]
生成AIは、使う側に回る
AIに仕事を取られるという言い方をよく聞きますが、使う側に回れば、減った作業は脅威ではなくなります。
実際に私も、高配当株の分析にAIを使っています。やり方は生成AIで高配当株分析を半自動化する方法にまとめました。仕事でも考え方は同じです。
「高配当株のスクリーニングって、8項目もチェックするのは大変そう」 IT部長・こざおです。リベ大(両学長)推奨の8項目スクリーニングを実践していますが、正直、財務データを1社ずつ手作業で確認するのは時間がかかります。 そこで私は[…]
最後は、提案ができるかどうか
言われる前に出せる人は、減らされません。
「こうした方がいいのでは」と言える人は、AIには置き換えられないからです。提案には、現場を見ている人間にしか分からない前提が必要になります。
評価される人材の条件は生成AI時代に評価される人材・されない人材の違いで、評価する側の目線からまとめています。
「生成AIの登場で、自分の仕事はなくなるのだろうか」 IT部長・こざおです。正直に言います。この不安は、的外れではありません。 SESという業態そのものが、生成AIの台頭によって存続を問われる時代に入っています。自社の社員を見渡[…]
今いる会社を、どう見極めるか
個人の努力だけでは、どうにもならない部分があります。
会社が上流に行こうとしているか
見るべきは、会社が上流工程を取りに行っているかどうかです。
下流の案件を数でこなすモデルのままなら、これから厳しくなります。AIコンサルや上流の案件を取ろうとしている会社なら、そこに乗る道があります。
教育に投資しているか
もう一つは教育です。
AIを使える人材を育てようとしているか。研修も資格支援もない会社は、この変化に対応できません。
会社の見極め方は良いSES企業・危ないSES企業の見分け方にまとめました。
「SES企業って、どこも同じに見える」 求人サイトを見ていると、確かにそう感じるかもしれません。でも実態は、驚くほど差があります。 IT部長・こざおです。中堅SES企業で19年、同業他社を数えきれないほど見てきました。この記事で[…]
どちらも当てはまらないなら、在職中のうちに他社の状況を見ておいてください。案件が減る局面では、動ける時期が限られます。
よくある質問
Q. SESはもう終わりですか
終わりではありませんが、これまでと同じモデルのままの会社は厳しくなります。
頭数を揃えて単価をもらうやり方が成立しにくくなる、という意味です。上流に行ける会社と、そこで働ける人は残ります。
Q. 今からプログラミングを学ぶ意味はありますか
あります。ただし、コードが書けることがゴールではなくなったと考えてください。
AIが生成したコードを読んで判断できること、要件を整理できること。そこまで含めて学ぶなら、意味は十分にあります。
Q. 上流工程に行くには、何年くらいかかりますか
一概には言えませんが、待っていても回ってきません。
現場で上位層と話す、設計の議論に入る、提案してみる。こうした動きを自分から取りにいく必要があります。
Q. 未経験からIT業界に入るのは、もう遅いですか
下流の作業だけを目指すなら厳しくなります。
ただ、前職の業務知識を持ち込める人にはチャンスがあります。上流で必要なのは、業務を理解している人だからです。
まとめ|減ったのは単価ではなく、案件そのもの
整理します。
- 2026年に入って、設計・開発・テストの案件が明らかに減った
- AIコンサル・上流工程の案件は増えている。上流の単価は上がっている
- 単価が下がったのではなく、案件そのものが減っているのが今回の変化
- 3年後、これまでのSESのビジネスモデル自体が厳しくなると見ている
- 社員とBPの人売りで売上を作ってきた会社が、特に厳しい
- 生き残るには、主体性・業務知識・生成AIの知識・提案力の4つ
- 会社選びでは、上流を取りに行っているか、教育に投資しているかを見る
言われたことだけをやる働き方が、いちばん危ない。
これは今に始まった話ではありませんが、AIによって時間の猶予がなくなったというのが、発注側にいる私の実感です。
SESの内側シリーズ
中堅SESの部長が、決める側と、見られる側の両方から書いています。
単価と待遇
案件と現場
業界の構造