SESの記事の多くは、エンジニアが会社をどう選ぶかという話です。
この記事は逆です。自分の会社が、上の会社からどう選ばれているかを書きます。
私は中堅SESの部長として、大手ベンダーやその子会社から仕事を受ける立場にいます。同時に、協力会社に発注する側でもあります。
商流の真ん中にいるので、上から見られる感覚と、下を見る感覚の両方があります。
この記事では、上を見た話をします。なぜなら、あなたの会社が商流のどこにいるかで、単価も待遇も決まってしまうからです。
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📌 この記事を読むとわかること
- 上位請けが協力会社に見ている4つのこと
- 取引を切られる会社に、共通して欠けているもの
- 2次請けに入れる会社と、3次請けで止まる会社の違い
- 単価は誰が決めているのか(顧客側に先に「単価感」がある)
- 上位請けとの関係で、いちばん神経を使う3つの場面
- 会社の商流が、エンジニア個人の年収にどう効くか
- 現場のエンジニアが、会社の商流を動かせる理由
この記事の要約
上位請けが協力会社に見ているのは技術力ではなく、責任感・生産性・組織としての品質・やり切れるかの4つです。商流の真ん中にいる中堅SESの部長が、2次請けに入れる会社と3次請けで止まる会社の違いを、受注側の立場から書きました。
結論|見られているのは「責任感」と「やり切れるか」
上位請けが協力会社を選ぶときに見ているのは、技術力ではありません。
見ているのは、この4つです。

技術力が要らないという意味ではありません。技術力は前提であって、選定の基準ではないということです。
同じくらいの技術力の会社は他にもあります。そこから先で選ばれる理由が、この4つです。
すべての土台は「責任感」
図の一番下に置いたのは、これがなければ他が見てもらえないからです。
取引を切られる会社は、例外なくここが欠けています。
問題が起きたときに動かない。連絡が取れない。説明がない。技術力が高くても、これが一度起きると次の発注は止まります。
協力会社を見る側から書いた話は良いSES企業・危ないSES企業の見分け方にもまとめています。
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生産性と、組織としての品質
生産性は、単価に見合う成果が出ているかです。
そして組織としての品質。ここが中堅と零細を分けます。担当者個人の力量ではなく、会社として一定の水準を出せるかを見られています。
優秀な人が1人いる会社と、平均的な人が安定して出てくる会社なら、継続発注するのは後者です。
やり切れるか
最後は、任せた仕事を最後まで走り切れるかどうか。
途中で人が抜ける。体制が崩れる。こうなると、発注側は自分たちが尻拭いをすることになります。だから、やり切れる前提で任せられる会社かどうかを見ています。
2次請けに入れる会社と、3次請けで止まる会社の違い
ここが、この記事でいちばん書きたい部分です。
ほとんどのSES企業は3次請け以降にいます。その中で、上に行ける会社と行けない会社が分かれます。
差は、技術力ではありません。営業力です。

現場に入れば、上位層とは話せる
これは意外と知られていません。
現場に入ってしまえば、上位層とのコミュニケーションは、取ろうと思えば取れます。
同じ部屋にいて、同じプロジェクトを回しているのですから、話す機会自体はあります。問題は、そこを取りに行くかどうかです。
キーマンとの関係を、地道に作れるか
上に行く会社がやっているのは、キーマンとのコミュニケーションです。
決裁に関わる人が誰なのかを見極めて、そこに接点を作る。次の案件の話が出たときに、名前が挙がる状態にしておく。
派手な営業活動ではありません。地道な関係づくりです。ただ、これができている会社と、できていない会社で、数年後の商流の位置が変わります。
単価は、実は顧客が決めていることが多い
エンジニアからよく聞かれる話に触れておきます。
顧客ごとに「単価感」が先にある
単価の提示は、こちらから出すケースも、顧客から提示されるケースもあります。
ただ、実際には顧客から提示される方が多いです。
理由は単純で、顧客の中に「この会社ならこのくらい」という単価感が先にあるからです。過去の実績、商流の位置、体制の厚さ。そこから逆算された数字が出てきます。

交渉の余地はある。ただし無限ではない
提示された単価をそのまま受けるわけではありません。交渉はします。
ただ、動かせる幅は、それまでの実績で決まっています。交渉の場で話がうまいかどうかではありません。
だから「会社が交渉してくれない」という不満は、半分は正しくて半分は違います。交渉の余地を作るのは、日々の現場の評価だからです。
単価の計算構造そのものはSESの単価はどう決まるのかで、自社の利益率まで含めて公開しています。
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上位請けとの関係で、いちばん神経を使う3つの場面
受注側として、気を抜けない場面は決まっています。
① 単価交渉
高すぎれば決まらず、低すぎれば自社が持たない。
しかも一度決めた単価は、簡単には上げられません。最初の設定が、その後数年の関係を縛ります。
② 要員提案のとき
誰を出すかで、その後の評価がほぼ決まります。
スキルが要件に合っているかだけでなく、現場で自走できるかを見て選びます。ここを外すと、単価の話どころではなくなります。
誰を出すかをどう決めているかはSES面接・客先面談で見られている本当のポイントに書きました。
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③ アサイン後の立ち上げ
そして、いちばん神経を使うのがここです。
立ち上げをどれだけ早くできるか。そして、単価に見合う生産性まで持っていけるか。

入って最初の1〜2ヶ月の印象が、その後の取引の質を決めます。ここで「思ったより立ち上がりが遅い」と思われると、次の提案が通らなくなります。
エンジニア個人にとって、これが何を意味するか
ここまで会社の話をしてきましたが、無関係ではありません。
会社の商流が上がれば、単価も待遇も変わる
同じスキルでも、所属している会社が何次請けかで単価は変わります。
つまり、あなたの年収の上限は、あなたの実力だけで決まっていません。会社が商流のどこにいるかで、天井の高さが違います。
会社の位置を知る方法はSESの単価はどう決まるのかに書いています。
現場での振る舞いが、会社の商流を動かす
そして、ここが大事なところです。
上位層との関係を作れるのは、現場にいるエンジニアです。営業は毎日そこにいません。
現場でキーマンと関係を作り、次の案件の相談を受けられる立場になる。それができる人が何人かいる会社は、商流を上げていきます。
よくある質問
Q. 自分の会社が何次請けか、どう調べますか
現場で「この案件のエンドユーザーはどこですか」「間に何社入っていますか」と聞くのが早いです。
面談の段階でも聞けます。答えられない、はぐらかす会社は、だいたい深い位置にいます。
Q. 上位層と話すといっても、何を話せばいいですか
案件の話で構いません。
「この機能、今後どう広げていく予定ですか」「他の部署でも同じ課題はありますか」。今の作業の一つ外側に関心を持つだけで、会話は成立します。
これを続けていると、次の案件の相談が来るようになります。
Q. 中堅SESから、さらに上に行けますか
1次請けまで行くのは、正直かなり難しいです。
ただ、2次請けと3次請けの間は、営業力で動きます。そこまでは十分に狙える範囲です。
Q. 自分の会社が上に行けそうにありません
会社の商流は、個人の努力では変えにくい部分です。
半年から1年やってみて、会社側に動く気配がないなら、在職中のうちに上位の商流にいる会社の条件を見ておいてください。
同じスキルでも、商流が一つ上がるだけで単価は変わります。
まとめ|技術力は前提。選ばれる理由は別にある
整理します。
- 上位請けが見ているのは責任感・生産性・組織としての品質・やり切れるか
- 切られる会社は、例外なく責任感が欠けている
- 2次請けに入れるか3次請けで止まるかの差は、技術力ではなく営業力
- 現場に入れば、上位層とは話せる。取りに行くかどうかの問題
- 単価は顧客側に先に「単価感」があり、提示されるケースの方が多い
- 交渉の余地を作るのは、交渉の場ではなく日々の現場の評価
- 神経を使うのは、単価交渉・要員提案・アサイン後の立ち上げの3つ
- 会社の商流を動かせるのは、現場にいるエンジニア
技術力は前提であって、選ばれる理由ではありません。
これは会社にも、個人にも同じことが言えます。技術を磨いたうえで、誰と関係を作るか。そこで数年後の位置が変わります。
SESの内側シリーズ
中堅SESの部長が、決める側と、見られる側の両方から書いています。
単価と待遇
案件と現場
業界の構造