離職率5%。平均残業時間18時間。有給取得率80%。
求人票に並ぶこの手の数字を、見比べている人は多いと思います。
はっきり言います。この数字は、作れます。
私はIT業界で19年、うち部長として6年、中堅SESで協力会社を選ぶ側にいます。発注する立場で何十社と見てきました。
その立場から言うと、会社を見分けるときに数字より先に見るべきものがあります。商流です。
そして商流について、SES業界にはほぼ確実に嘘が混じっている一言があります。
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📌 この記事を読むとわかること
- SES企業が「1次請けです」と言う時点で、ほぼあり得ない理由
- 何次請けに、どんな会社が入っているのか
- 中堅SESは3次請け。それでも業界では上位層だという話
- 離職率・残業時間・有給取得率が当てにならない仕組み
- 商流を入社前に確かめる、4つの手順
- 商流が深いと、働く側に何が起きるか
この記事の要約
求人票の離職率・残業時間・有給取得率は、数え方を変えればいくらでも良く見せられます。見るべきは商流です。1次請けになれるのは自社製品を持つ大手だけなので、SES企業が「1次請け」と名乗る時点でまずあり得ません。協力会社を選ぶ側の中堅SES部長が、商流の実態と確かめ方を書きました。
結論|数字は作れます。見るべきは商流です
先に答えを書きます。
離職率も、残業時間も、有給取得率も、よく見せるために数え方を調整している会社がほとんどだと思ったほうがいいです。
一方で、商流はごまかしにくい。どこから仕事が来ているかは、構造で決まっているからです。
「1次請けです」と言うSES企業は、まずあり得ません
これが、いちばん分かりやすい見抜き方です。

1次請けになれるのは、エンドから直接仕事を取れる会社だけ
1次請けというのは、エンドユーザー(システムを使う事業会社)から直接仕事をもらっている会社のことです。
そこに入れるのは、基本的に次のどちらかです。
- 大手SIer
- 自社製品を持つパッケージベンダー
理由は単純で、エンド企業が数億円規模の発注をする相手は、規模と実績で選ばれるからです。人を出すだけのSES企業が、ここに入ることはまずありません。
つまり「SESで1次請け」という時点で、構造上あり得ない話をしていることになります。
2次請けも、ほとんどが大手の子会社です
では2次請けはどうか。
ここも、大手SIerの子会社が大半を占めています。グループ内で仕事が回るので、外部のSES企業が入り込む余地が限られます。
入れるとしても、中堅SESの中でもかなり上位の会社だけです。
中堅SESは3次請け。それで十分に上位層です
ここは誤解されやすいところなので、はっきり書きます。
中堅SESは3次請けで、まったく問題ありません。
むしろ業界全体で見れば、3次請けにいる時点で上位層です。4次請け・5次請けが当たり前の世界だからです。
私の会社も2〜3次請けです。それを隠す必要も、盛る必要も感じていません。
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今いる会社の商流が、気になってきたなら
商流は入社後に個人で変えられるものではありません。どんな条件の求人が出ているのかを先に見ておくと、動くかどうかを落ち着いて決められます。運営元と対応範囲は、利用前にご確認ください。
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4次請け・5次請けは、当たり前にあります
ここも知っておいてください。
間に3社も4社も入っている現場は、珍しくありません。そして深くなるほど、働く側には次のことが起きます。
- 単価が削られ、給与の原資が小さくなる
- 仕様を決める場に呼ばれず、言われたことをやる役割になる
- 自社で案件を取ってきていないので、切られたときに次が無い
- 評価が、間に入った会社を経由してしか届かない
商流の深さは、そのまま働き方の自由度に効いてきます。
上の商流に行ける会社と、止まる会社の違いは中堅SESは大手ベンダーから何を見られているかにまとめています。
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離職率・残業時間・有給取得率が当てにならない理由
数字の話に戻ります。
離職率
分母と期間の取り方で、いくらでも変わります。
正社員だけで数えるのか、契約社員や業務委託も入れるのか。年度の切り方をどこにするか。入社3年以内の退職をどう扱うか。
悪意がなくても、都合のいい数え方が選ばれます。
平均残業時間
「平均」が曲者です。
常駐先によって差が極端なので、平均を取ると実態が消えます。月10時間の現場と月80時間の現場が混ざれば、平均は45時間になります。
聞くべきなのは平均ではなく、いちばん多い現場でどのくらいかです。
有給取得率
取得率が高くても、いつ取れるかは別の話です。
常駐先の繁忙期に合わせざるを得ないので、「取れるが時期が選べない」という状態は普通にあります。
商流を、入社前に確かめる手順
では何を聞けばいいのか。4つで足ります。

① エンド企業の名前を聞く
「どういうお客様の案件が多いですか」と聞いてみてください。
守秘義務で言えない場合もありますが、業種や規模すら出てこないなら、そこが答えになることもあります。
② 間に何社入っているかを聞く
これが本丸です。「御社とエンド企業の間に、何社入りますか」。
「直接です」と返ってきたら、契約の相手先がどこかまで確認してください。
③ 自社で取ってきた案件の割合を聞く
上から降りてくるだけの会社か、自分たちで取ってきている会社かが分かります。
自社で取れる会社は、切られたときに次を出せます。ここが一番大きい差です。
④ 答えを、他の情報と突き合わせる
面談での話だけで判断しないでください。求人票、口コミ、登記情報。
話と実態がずれている会社は、入ってからもずれます。
よくある質問
Q. 面談でここまで聞いて、印象が悪くなりませんか?
なりません。むしろ構造を理解している人だと受け取られます。
私が面談する側なら、こういう質問をしてくる人は評価が上がります。嫌がる会社のほうを疑ってください。
Q. 商流が深い会社は、全部避けるべきですか?
そこまでではありません。深くても、教育がしっかりしている会社はあります。
ただし、深い会社ほど自社で案件を取れていないことが多いので、切られたときに何が起きるかは確認しておいてください。
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Q. 商流は、入社後に変えられますか?
会社としては変えられます。ただ何年もかかります。個人が1〜2年で変えられるものではありません。
入る前に確認すべき、というのはそういう理由です。
Q. 「上流工程に関われます」という求人はどう見ればいいですか?
上流工程と上流商流は別の話です。3次請けの現場でも、要件定義に関わることはあります。
逆に2次請けでもテストだけ、ということもあります。工程の話をされたら、商流とは分けて聞いてください。
まとめ
求人票の数字を見比べる前に、商流を確かめてください。
- 離職率・残業時間・有給取得率は、数え方でいくらでも変わる
- 1次請けになれるのは、大手SIerか自社製品を持つベンダーだけ
- SESで「1次請け」と名乗る時点で、構造上あり得ない
- 2次請けも大半が大手の子会社。中堅SESは3次請けで十分に上位層
- 4次請け・5次請けは当たり前にある。深いほど単価も裁量も削られる
- 聞くべきは、エンド企業・間の社数・自社案件の割合
数字は作れますが、商流は構造で決まっています。だから商流のほうが信用できます。
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