自分の会社が、取引先からどう見られているか。
考えたことがある人は、そう多くないと思います。
発注側として、協力会社を選ぶ立場から書きます。
私は中堅SESの部長として、協力会社に発注する判断をしています。提案されてきた会社と組むかどうか、契約を続けるかどうかを決める側です。
先に、身も蓋もない数字を書いておきます。
中長期で付き合いたいと思える協力会社は、体感で2割です。
残りの8割と、なぜそう思わないのか。そして、会社の評判がエンジニア個人にどう跳ね返るかを書きます。
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📌 この記事を読むとわかること
- 長く付き合いたいと思える協力会社が2割しかいない理由
- 新しく組むときに、発注側が最初に見ている2つのこと
- 「この会社とは組めない」と判断する3つの型
- 「責任を取らない」とは、現場で何が起きることなのか
- 信頼できる2割の会社は、どこが違うのか
- 会社の評判が、エンジニア個人にどう跳ね返るか
- 自分の会社がどちら側かを確かめる方法
この記事の要約
発注側として協力会社を見てきた中堅SESの部長が、長く組みたいと思える会社が2割しかいない理由を書きました。紹介するだけ・規模だけ大きい・責任を取らないという3つの型と、会社の評判がエンジニア個人にどう跳ね返るかを解説します。
結論|長く組みたい会社は、2割しかいない
まず全体像です。

8割が悪い会社だという意味ではありません。取引は続きますし、普通に仕事も回ります。
ただ、「この会社となら、長く一緒にやっていきたい」と思えるかというと、そうではないということです。
新しく組むとき、最初に見るのは「商流」と「規模」
提案が来たとき、最初に確認するのはこの2つです。
商流|どこから仕事を取ってきているか
その会社が何次請けにいるのかを見ます。
商流が深い会社は、自分たちで案件を取ってきていないということです。上から降りてきたものを、さらに下に流している。
それ自体が悪いわけではありませんが、問題が起きたときに自社で判断できる範囲が狭くなります。
商流の数え方はSESの単価はどう決まるのかで、階層ごとに整理しています。
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規模|組織として回っているか
規模を見るのは、大きい会社が良いという意味ではありません。
組織として意思決定ができる体制があるかどうかを、規模から推測しています。
社員が数人の会社でも、責任者がはっきりしていれば問題ありません。逆に、規模が大きいのに誰が決めているのか分からない会社があります。それが次の話につながります。
「この会社とは組めない」と判断する3つの型
実際に見てきたパターンを、業界の型として3つ挙げます。

型1|間で紹介するだけのブローカー
案件とエンジニアを引き合わせるだけで、商流に挟まっている会社です。
現場のことを何も把握していません。だから問題が起きても、「確認します」と言ったきり何も返ってこない。
エンジニア本人にとっても不利です。間に会社が増えるほど単価は削られ、しかも守ってくれる人はいない、という状態になります。
型2|吸収合併を繰り返し、規模だけ大きい会社
これは業界に本当に多いです。
会社としての規模は大きいのに、組織として機能していません。部署ごとにルールが違い、誰に話を通せばいいのか分からない。
合併前の会社のやり方がそのまま残っていて、統一されていないケースをよく見ます。
型3|問題が起きても、責任を取らない会社
これがいちばん困ります。中身を次の章で書きます。
「責任を取らない」とは、具体的にどういうことか
抽象的な話にしたくないので、実際に起きることを書きます。
提案してきたSEが、急にいなくなる
理由は体調不良がほとんどです。これ自体は誰にでも起こり得ることで、責める話ではありません。
問題はその後です。
協力会社と連絡が取れなくなります。代わりの要員の提案もない。いつ復帰するのかの見通しも来ない。現場には穴が空いたままです。
それでも「稼働した分」の請求は届く
そして、稼働した分の請求だけはきっちり届きます。
これが「準委任契約を盾にする」ということの中身です。準委任は成果物を保証する契約ではないので、働いた時間に対しては請求できるという理屈です。
契約上は、その通りです。争っても勝てません。
契約が続くかどうかは、条文ではなくこうした場面の積み重ねで決まります。
信頼できる2割は、ここが違う
では、長く組みたいと思う会社は何が違うのか。
答えははっきりしています。

問題が起きたとき、上司が出てくる
これが決定的です。
担当者一人に任せきりにせず、上長が状況を把握して、判断して、対応する。代わりの要員をすぐ提案してくる。
「組織ができている」というのは、この一点に集約されます。
教育の仕組みが、社内にある
もう一つは教育です。
部下に問題が起きたときに、上司が対応できる。そのためには、育てる仕組みが社内にある必要があります。
現場任せで育てていない会社は、問題が起きたときに誰も対応できません。教育の有無は、平時ではなくトラブル時に表れます。
教育制度の実態については教育制度・環境が整っているSES企業の見分け方で、自社の研修をコストまで含めて公開しています。
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会社の評判は、エンジニア個人に跳ね返ります
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
個人の評価が高くても、会社ごと切られることがある
はっきり書きます。
現場での評価が高くても、会社の方針で撤退になるケースはあります。
あなたが悪いわけではありません。所属している会社が信頼を失っていれば、その会社との取引そのものを減らす判断になるからです。
契約が切られる判断基準については、個人の側から見た話をSES契約を切られる人・切られない人に書きました。この記事は、その会社版です。
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現場の空気で、気づけます
「うちの会社、信頼されていないかも」というのは、現場の空気に出ます。
重要な打ち合わせに呼ばれない。情報が後から回ってくる。自社の営業やリーダーが現場に顔を出さない。
空気を読める人なら気づけるはずです。気づいたときが、考えるタイミングです。
切るときは、いきなりではありません
公平のために、切る側の手順も書いておきます。
契約上は1ヶ月前ルールがあります。ただ実際には、いきなり切ることはほとんどありません。
指導して、警告して、それを何度も繰り返したうえで切るというのがほとんどです。
つまり、切られる会社は何度も言われたうえで、変わらなかった会社ということになります。
自分の会社が、どちら側かを確かめる
エンジニアの立場でできる確認を、具体的に並べます。

特に2つ目です。
「現場でトラブルが起きたら、誰が対応してくれますか」と聞いてみてください。「担当営業が」で止まる会社と、「課長が現場に入ります」と答える会社では、いざというときの動きがまったく違います。
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よくある質問
Q. 自分の会社が8割の側だったら、すぐ辞めるべきですか
すぐでなくて構いません。
ただ、その会社にいる限り、自分の努力で覆せない要因で切られる可能性があることは知っておいてください。
現場での評価を積み上げても、会社ごと撤退になれば関係ありません。そこが納得できないなら、動く理由としては十分です。
Q. ブローカーのような会社かどうか、どう見分けますか
現場のことをどれだけ把握しているかで分かります。
自社の営業やリーダーが、あなたの現場で何をやっているか説明できるか。案件の内容を理解しているか。ここが薄い会社は、紹介しているだけの可能性が高いです。
Q. 大きい会社なら安心ではないですか
規模と組織力は別物です。
吸収合併を繰り返して大きくなった会社は、中でルールが統一されていないことがあります。人数ではなく、意思決定が誰でできるかを見てください。
Q. 今の会社が信頼されているか、確かめる方法はありますか
現場で、発注元の担当者との距離を見てください。
重要な会議に呼ばれる。相談される。困ったときに名指しで頼まれる。この状態なら、会社ごと信頼されています。
逆に、情報が後から回ってくる状態が続いているなら、在職中のうちに他社の条件も見ておいた方がいいと思います。
転職するかどうかは別として、他社が自分をどう評価するかを知っておくと、判断の材料になります。
まとめ|信頼は、問題が起きたときに測られる
整理します。
- 長く組みたいと思える協力会社は、体感で2割
- 新しく組むときに最初に見るのは、商流と規模
- 組めないのは、紹介するだけ・規模だけ大きい・責任を取らない、の3つの型
- 人が抜けても連絡がつかず、稼働分の請求だけ届く。これが「責任を取らない」の中身
- 信頼できる会社は、問題が起きたときに上司が出てくる。教育の仕組みもある
- 個人の評価が高くても、会社の方針で撤退になることはある
- 切るときは1ヶ月前ルール。ただし実際は何度も警告したうえで切っている
信頼は、平時では測れません。
問題が起きたときに、誰が出てきて、何をするか。そこで決まります。自分の会社がどちら側なのかは、トラブルを一度経験すれば分かるはずです。
まだ経験していないなら、「トラブルのとき誰が来ますか」と聞いてみてください。答え方で、だいたい分かります。
SESの内側シリーズ
中堅SESの部長が、決める側と、見られる側の両方から書いています。
単価と待遇
案件と現場
業界の構造