SESの給料はなぜ上がらないのか|単価と給与が連動しない仕組みを決める側が話す

現場での評価は悪くない。単価も上がったと聞いた。

それなのに、給与明細は変わらない。

 

なぜ単価が上がっても、給料は上がらないのか。

私は中堅SESの部長として、部門の昇給を判断する側にいます。この記事では、その仕組みをそのまま書きます。

結論から言うと、多くの場合それは会社が搾取しているからではなく、給与の決まり方がそういう設計だからです。ただし、搾取している会社も実在します。その見分け方まで書きます。

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📌 この記事を読むとわかること

  • 単価が上がっても、その月に給与が上がらない理由
  • 昇給を実際に決めているのは誰か(部門長と役員)
  • 2年目がいちばん苦しくなる、賞与の構造
  • 中堅SESの課長クラスは年収いくらが相場か
  • 還元率より「ベースアップ率」を聞くべき理由
  • 年俸制の求人で、必ず確認すべきこと
  • 給与を上げるために、本人ができること

この記事の要約

SESの給与は単価ではなくランクで決まるため、単価が上がっても翌月には反映されません。中堅SESの部長が、昇給を決める流れ、2年目が苦しくなる構造、課長クラスの年収相場までを、決める側の立場から書きました。

結論|単価が上がっても、その月に給与は上がりません

先に答えを書きます。

単価アップは、そのまま給与に反映されません。

弊社の場合、昇給と降格の見直しは年1回(4月)です。単価が上がったのが5月なら、給与に反映される可能性があるのは翌年の4月ということになります。

え、1年近く待つことになるんですか…?
そうです。ただ、これはSESが特別なわけではありません。正社員の給与は年1回の見直しというのが普通なので、その意味では一般的な会社と同じです。

逆に言えば、単価が下がったときも、その月に給与が下がるわけではありません。会社が稼働の波を吸収しているとも言えます。

昇給は、どうやって決まっているのか

ここは会社によってかなり違うところです。

部門長が判断し、役員が承認する

弊社の流れは、部門長が判断し、役員が承認するという形です。

 
つまり、あなたの給与をいちばん左右しているのは直属の上司ではなく、部門長ということになります。

ここを理解しておくと、誰に何を伝えるべきかが変わります。直属の上司に伝えた内容が、部門長まで届いているかどうか。そこが抜けていると、評価は動きません。

年1回のランク見直しが基本

給与はランク(等級)で決まっていて、そのランクを年に一度見直します。

単価は案件ごとに動きますが、ランクは年単位でしか動きません。この時間軸のズレが、「単価は上がったのに給料が上がらない」の正体です。

SESの給与は、年次でこう変わる
SESの給与は、年次でこう変わる

2年目が、いちばん苦しい

これは書いておきたい話です。

 
弊社でも、退職の相談が集中するのは2年目です。理由ははっきりしていて、業績賞与が出ないため、給与が低く見えるからです。

1年目は研修や最初の現場で、まだ数字を作れていません。2年目は現場に慣れてきて、周囲と比べる余裕も出てくる。そのタイミングで賞与の差を知ることになります。

でも3年目以降は変わります。賞与が乗り、基本給も上がっていく。2年目だけを見て会社を判断してしまうのは、本当にもったいない。

もしあなたが今2年目なら、3年目の給与モデルを会社に聞いてみてください。具体的な数字が出てくるなら、待つ価値があります。出てこないなら、その会社にはモデルそのものが無いということです。

年収は、どこで頭打ちになるのか

ここがいちばん知りたいところだと思います。

中堅SESの場合、課長クラスで600万〜800万円が上限というのが、私の見ている範囲での相場です。これは優良なSES企業の場合の話です。

中堅SESの課長クラスは、年収どのくらいか
中堅SESの課長クラスは、年収どのくらいか

ブラックなら400万前後もあり得る

一方で、ブラック企業の場合は課長でも400万前後の可能性があります。

 
同じ「課長」という肩書きでも、会社が違えば倍以上の差がつきます。役職で年収は決まりません。決まるのは、その会社がどこの商流にいて、どれだけ還元しているかです。

弊社の課長は900万円から

参考までに、弊社の課長は900万円からです。

自慢をしたいわけではなく、「SESの課長だから600万が限界」ではないと知ってほしいからです。会社を選べば、同じ役職でも景色は変わります。

その先、部長・年収1,000万を超えるルートについてはIT業界で年収1,000万を超えるポジション設計の考え方に書きました。

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還元率とベースアップを、どう見るか

「還元率」という言葉がよく使われますが、公開している会社は多くありません。

代わりに見てほしい数字があります。

ベースアップ率を聞く

弊社は、近年のベースアップを3%〜5%以上でキープしています。業界平均を上回る水準です。

 
還元率は計算方法が会社ごとに違うので比べにくいのですが、ベースアップ率は毎年の実績なのでごまかしが効きません。

面談で「直近3年のベースアップ率はどのくらいですか」と聞いてみてください。答えられない会社は、そもそも管理していない可能性があります。

年俸制なら、残業代の扱いを必ず確認する

もう一つ、見落とされやすい点です。

年俸制の会社では、残業代が別途支給される形になっていないことがあります。その分が基本給に含まれている設計です。

ただし、年俸制であっても、法定の割増賃金の支払い義務が無くなるわけではありません。固定残業代として年俸に含める場合は、何時間分が含まれているかの明示が必要とされています。

 

求人票に「年俸制」とあったら、固定残業代が何時間分含まれているかを必ず確認してください。ここを確認せずに額面だけで比較すると、実質の時給がまったく違うことになります。

※ 制度の一般的な説明です。個別の事情は労働基準監督署や専門家にご確認ください。

給与を上げるために、いちばん効くこと

決める側から見て、効果が大きい順に書きます。

給与を上げるために、本人ができること
給与を上げるために、本人ができること

結果を出す。そして、出した結果を伝える

当たり前に聞こえますが、2つ目ができていない会社員が、本当に多いです。

客先常駐は、自社の上司から見えません。現場でどれだけ評価されていても、伝わらなければ査定の材料になりません。

黙っていても見てくれている、は幻想です!評価する側は全員の一年を細かく覚えていません。伝えてくれた人の情報で判断するしかないんです。

面談では、自分から話す

面談の場は、唯一の公式なアピールの機会です。

「特にありません」で終わらせている人が一定数います。そこで何も言わなければ、こちらは「不満はないのだろう」と受け取ります。

 

何を伝えるべきかは会社員が出世するために必要な3つのことにまとめました。評価される人がやっていることは、業種を問わず共通しています。

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会社員が出世するために必要な3つのこと

それでも動かないなら、会社の側を疑う

結果を出し、伝え、面談でも話した。それでも2年続けて何も変わらない。

その場合は、会社に還元する余力が無いか、還元する気が無いかのどちらかです。どちらも本人の努力では変えられません。

 

在職中のうちに、同じ経歴で他社がいくら出すのかを見ておいてください。

結果を出しても、2年続けて何も変わりませんでしたか

会社に還元する余力がないか、その気がないかのどちらかです。同じ経歴で他社がいくら出すのかを見ておいてください。

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比較の材料があれば、今の会社に残る判断にも根拠が持てます。

よくある質問

Q. 単価を教えてくれない会社は、ピンハネしていますか

必ずしもそうとは限りません。

ただ、聞いて答えない会社は、答えられない理由があるとは考えていいと思います。商流が深くて言いにくい、還元率が低い、といった事情です。

単価がどういう計算で決まっているかはSESの単価はどう決まるのかで、自社の利益構造ごと公開しています。

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Q. 単価が上がったら交渉していいですか

してください。ただし、タイミングと伝え方があります。

年1回の見直しの2〜3ヶ月前に、「単価が上がった」「担当する範囲が広がった」という事実を伝えてください。査定の直前に言っても、もう資料は固まっています。

「上げてほしい」ではなく「やっていることが変わった」と伝えるのがコツです。

Q. フリーランスになった方が稼げますか

単年で見れば、その通りのことが多いです。

ただ、天井の高さと安定性はまったく違います。その比較はSESで年収1000万は正社員のままで可能かに書きました。

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Q. 2年目で辞めるのは、早すぎますか

給与だけが理由なら、早いと思います。3年目で景色が変わる会社は実際にあるからです。

判断するなら、3年目の給与モデルを会社に確認してからにしてください。それが示せない会社なら、辞める理由としては十分です。

給与を上げるもうひとつの道が昇進です。何を見て判断しているのかは出世できない人の特徴5選に書きました。

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まとめ|給与は「単価」ではなく「ランク」で決まる

整理します。

  • 単価アップは、その月の給与には反映されない。年1回の見直しで動く
  • 決めているのは直属の上司ではなく、部門長。承認するのは役員
  • 2年目がいちばん苦しい。業績賞与が出ないため給与が低く見える
  • 3年目以降で景色が変わる。判断は3年目のモデルを聞いてから
  • 中堅SESの課長は600万〜800万が相場。ブラックなら400万前後もある
  • 還元率より、直近3年のベースアップ率を聞く
  • 年俸制なら、固定残業代が何時間分か必ず確認する
  • 結果を出すことと、出した結果を伝えることは別の仕事

給与が上がらない理由の多くは、仕組みの問題です。

 
ただ、同じ役職でも会社によって倍以上の差がつくのも事実です。仕組みを知ったうえで、それでも動かないなら、それは会社を選び直すサインだと思ってください。