「住宅ローンを繰り上げ返済すべきか、その分を投資に回すべきか」
資産形成を始めた人が必ずぶつかる問いです。数学的には「金利より投資リターンが高いなら投資」が正解とされています。でも私は、借金が嫌いです。
IT部長・こざおです。住宅ローンを2本(合計約2,800万円)抱えながら、年間400〜500万円を投資に回し、5年に1回200万円ほど繰り上げ返済もしています。「数学」と「感情」の両方に折り合いをつけた、私なりの答えをお伝えします。
1. こざお家の住宅ローン事情|2軒・2本・合計2,800万円
まず我が家の実態を公開します。
| 1軒目(一戸建て) | 2軒目(現在の自宅) | |
|---|---|---|
| ローン種別 | フラット35(固定) | フラット35(固定) |
| 金利 | 1.9% | 1.7% |
| 残高 | 約600万円 | 約2,200万円 |
| 月々の返済 | 約3.8万円 | — |
| 状態 | 賃貸に出している(家賃7万円) | 居住中 |
2. 数学的な答え:金利1.7〜1.9%なら投資が有利
繰り上げ返済の「リターン」は、ローン金利と同じです。1.9%のローンを200万円返せば、年1.9%(3.8万円)の利息を確実に減らせます。
一方、全世界株式インデックスの長期平均リターンは年5〜7%と言われています。1.9% vs 5%——数字だけ見れば、投資に回した方が資産は増えます。
| 選択肢 | 期待リターン | 確実性 |
|---|---|---|
| 繰り上げ返済(1.9%ローン) | 年1.9% | 100%確実 |
| 繰り上げ返済(1.7%ローン) | 年1.7% | 100%確実 |
| インデックス投資 | 年5〜7%(期待値) | 変動あり。暴落もある |
さらに住宅ローン控除がある期間は、ローン残高の0.7%程度が税額控除されます。実質金利は1.0〜1.2%まで下がる計算になり、投資有利の差はさらに広がります。
3. シミュレーション|200万円を「返済」vs「投資」15年後の差

| 年数 | 繰り上げ返済(1.9%相当の効果) | 投資(年率5%) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 5年 | 約220万円 | 約255万円 | 約35万円 |
| 10年 | 約241万円 | 約326万円 | 約85万円 |
| 15年 | 約265万円 | 約416万円 | 約150万円 |
※繰り上げ返済の効果は「200万円が年1.9%で増えた」と同等とみなして計算。投資は年率5%の複利。税金・手数料は考慮せず。実際の運用成果を保証するものではありません。
4. それでも私が繰り上げ返済する理由|借金が嫌い
私は20代前半、ギャンブルで300万円の借金を作りました。あの頃の「借金がある状態の重さ」は、今でも体が覚えています。だから住宅ローンも、数字では「投資が有利」とわかっていても、「残高が減っていく」ことに強い安心感がある。
これは合理性ではなく性格の問題です。でも資産形成は「続けること」が全てなので、自分の性格に合わないやり方は続きません。
繰り上げ返済の「数字に出ないメリット」
- 心理的安定:残高が減ると、仕事のストレス耐性が上がる(実感)
- 暴落耐性:借金が少ないほど、株の暴落時に「売らなくていい」と思える
- 家計の柔軟性:完済すれば月々の固定費が消え、サイドFIRE後の必要生活費が下がる
- 確実性:投資は期待値、返済は100%確定
5. こざおの答え:投資9・返済1の「不定期繰り上げ」

数学(投資有利)と感情(借金嫌い)の折り合いとして、我が家は以下の配分にしています。
| 項目 | 金額 | 年換算 | 割合 |
|---|---|---|---|
| インデックス積立(新NISA) | 月20万円 | 240万円 | 約90% |
| 高配当株(暴落時まとめ買い) | 年200万円程度 | 200万円 | |
| 繰り上げ返済 | 5年に1回200万円程度 | 約40万円 | 約10% |
ポイントは「定期的にはやらない」こと。毎年繰り上げると投資の複利を削りすぎるので、「ボーナスが大きかった年」「投資の含み益が乗っている年」など、余裕があるときに不定期でまとめて返す。
6. 1軒目は賃貸に出している|ローンを家賃が上回る状態
1軒目の一戸建ては、会社の後輩に貸しています。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 家賃収入 | 月7万円 |
| ローン返済 | 月3.8万円 |
| 差額(キャッシュフロー) | 月+3.2万円 |
| ローン残高 | 約600万円(金利1.9%) |
この状態だと、1軒目のローンは「他人が返してくれている」ことになります。しかも不動産所得の計算上、ローン利息は経費にできる。この物件は繰り上げ返済の優先度が最も低く、むしろ残しておいた方が税務上も有利です。
7. 繰り上げ返済を「してはいけない」ケース
借金嫌いの私でも、以下の状況では繰り上げ返済をすすめません。
| ケース | 理由 |
|---|---|
| 生活防衛資金(生活費3〜6ヶ月分)が貯まっていない | 繰り上げたお金は戻ってこない。緊急時に借金する羽目になる |
| 住宅ローン控除の期間中 | 控除で実質金利が1%前後。返すメリットが薄い |
| 新NISA枠を使い切っていない | 非課税の投資枠を残して返済するのは機会損失 |
| 金利が1%未満の変動金利 | 投資との差が大きすぎる。返済はほぼ無意味 |
| 賃貸に出していて家賃がローンを上回る | 他人が返している状態。触らない |
8. あなたはどっち?判断フローチャート

- 生活防衛資金は貯まっている? → No なら、まず貯める。返済も投資も後
- 新NISA枠は使い切っている? → No なら、投資優先
- ローン金利は2%以上? → Yes なら、返済も検討の価値あり
- 借金があると眠れないタイプ? → Yes なら、投資9:返済1で心を守る
- すべて No → 投資に全振り。返済は完済期日まで放置でOK
正解は一つではありません。「数学的に有利な方」と「自分が続けられる方」の交点を探してください。
9. まとめ|正解は「数学×性格」で決まる
- 金利1.7〜1.9%のローンなら、数学的には投資が有利(15年で約150万円の差)
- それでも繰り上げ返済には心理的安定・暴落耐性という数字に出ないメリットがある
- こざお家は投資9:返済1。返済は「不定期・余裕があるとき」に200万円
- 賃貸に出している物件のローンは繰り上げない(家賃が返してくれている)
- 生活防衛資金・NISA枠・ローン控除を優先してから返済を考える
- 最終的には「自分が続けられる配分」が正解
※本記事は筆者個人の状況と考え方であり、特定の金融行動を推奨するものではありません。ローン・投資の判断はご自身の状況に合わせて行ってください。
次のステップとして、以下の記事も参考にしてください。