結果は出している。数字も達成している。
それなのに評価が上がらない。思い当たるのは直属の上司に嫌われていることだけ。
この状態になると、何をしても無駄な気がしてきます。
私はIT業界で19年、うち部長として6年、中堅SESで部門の評価を決める側にいます。課長がつけた評価を部門で並べ直し、役員に上げるのが私の仕事です。
その立場から言うと、上司の評価は入口にすぎません。ただし、入口で止まると上には何も届きません。この記事では、その線引きを書きます。
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📌 この記事を読むとわかること
- 評価が、どこを通って決まっているのか
- 直属の上司の評価は、どこまで効くのか
- 実力があるのに昇進しない人に、何が起きているか
- 「嫌われている」のか「足りていない」のかの見分け方
- 不当だと判断したときに、やるべき順番
- 異動しても評価が変わらない人が多い理由
この記事の要約
直属の上司の評価は一次評価にすぎず、最終的には部門長と役員が決めます。ただし昇進を会議で押し通すのは上司なので、関係が悪いと材料が上に届きません。中堅SESの部長が、実力があるのに昇進しない人に何が起きているか、不当な評価だと思ったときに何から手をつけるべきかを、決める側から書きました。
結論|上司の評価は入口。ただし、押し通すのも上司です
先に答えを書きます。
直属の上司に嫌われていても、昇進できないわけではありません。
評価は上司ひとりで決まるものではないからです。ただし、ここには続きがあります。
つまり上司は採点者であると同時に、交渉役でもあるということです。ここを分けて考えないと、打つ手を間違えます。
評価は、どこを通って決まるのか
まず仕組みから説明します。

弊社の場合、直属の上司が一次評価をつけ、部門長が部門内で横に並べ、役員が承認します。
ここで大事なのは、部門長が並べ直す段階で、上司の評価は相対化されるということです。
同じ部門に5人の課長がいれば、甘い課長も辛い課長もいます。私はそれを知っているので、課長がつけた点数をそのまま信じることはしません。客先の評価も見ますし、数字も見ます。
だから上司ひとりの好き嫌いで、すべてが決まるわけではない。これは本当です。
評価の全体像は客先常駐の評価は誰がどう決めているのかにまとめています。
ところで、その上司は本当に無能なのか
先に確認しておきたいことがあります。
上司になっている時点で、その会社では結果を出して評価されています。ある程度の実行力はある、と考えたほうがいいです。
「あの人は何も分かっていない」と思っているとき、実際には自分が見えていない部分があることも多い。
そして人間なので、合う合わないは必ずあります。相性の問題は、どちらが悪いという話ではありません。
問題は、それが評価に不当に反映されているかどうかです。
実力があるのに昇進しない人に、何が起きているか
ここが本題です。
結果を出しているのに上がらない人を見ていくと、共通するものがあります。
社内でのアピールが弱い
いちばん多いのがこれです。
現場では評価されている。客先からの評判もいい。でも、それが社内に伝わっていない。
評価する側は、客先に常駐している社員の日常を見ていません。見えるのは、帰社したときの数十分と、面談のときだけです。
その限られた接点で何も伝えてこない人は、材料がないまま評価されることになります。
役員面談での答えが悪い
昇進の手前には、だいたい役員面談があります。
ここで落ちる人がいます。現場では優秀なのに、役員の質問にうまく答えられない。
- 聞かれていないことを長々と話す
- 数字を把握していない
- 課題を聞かれて、他人や環境のせいにする
- 「どうしたいか」を自分の言葉で言えない
役員が見ているのは技術力ではありません。この人に部門を任せられるかです。そこがずれていると、現場の実績があっても通りません。
そして、交渉する上司次第という現実
ここは隠さずに書きます。
昇進は、会議で誰かが押し通すことで決まります。
私の場合、推したい人間がいれば押し切ります。一部に弱いところがあっても、全体として足りていると判断すれば、そう主張します。
これは不公平に聞こえると思います。実際、ある程度は不公平です。
ただ、言い換えると「上司に材料を渡せているか」が効くということでもあります。上司が会議で使える材料を持っていなければ、戦いようがありません。
嫌われているかどうかより、この人は何を持って会議に出るのかを考えたほうが建設的です。
「嫌われている」のか「足りていない」のか
動く前に、見分けてください。

左側に当てはまるなら、行動する価値があります。
右側に当てはまるなら、上司を変えても結果は変わりません。
とくに「客先の評価と自己評価がずれている」は決定的です。面談で自己評価を聞いて、客先の評価と大きく離れている人は、何が足りていないのかが本人に見えていません。
不当な評価だと判断したときに、やること
順番が大事です。いきなり最後までいかないでください。
① まず、まっとうに相談する
上司の上、つまり部門長に相談します。感情ではなく、事実で。
「客先からはこういう評価をもらっているが、社内の評価と差がある。理由を教えてほしい」。この言い方なら、ただの不平にはなりません。
私自身、こういう相談を受けたことは何度もあります。まっとうな相談であれば、ちゃんと取り合います。
② 組織を変えてもらえるかを見る
相性が本当に悪く、他のメンバーにも悪影響が出ていると判断すれば、私は組織変更を行います。担当を変える、チームを分ける、体制を組み替える。
会社としてそれができるかどうかが、ひとつの分かれ目です。
③ 動かない会社なら、見限る判断もある
まっとうに相談したうえで、何も変わらない。説明もない。
その場合は会社そのものを見限ったほうがいいケースがあります。
評価に説明がつかない会社は、これから先も説明しません。我慢し続けても、だいたい同じことが起きます。
転職を考えるなら、失敗する人の共通点を先に見ておいてください。SE転職で失敗する人の共通点にまとめています。
異動すれば変わる、とは限らない
最後に、聞きたくない話を書きます。
異動や組織変更で伸びる社員は、確かにいます。環境が変わって本領を発揮する人です。
ただし実感としては、元の組織で評価が低かった人は、異動しても評価されないケースのほうが多いです。
もちろん、これは会社によります。受け入れ体制が無い会社なら、異動先でつまずくのは本人のせいではありません。
だから必要なのは、自分が置かれている状況を、客観的に俯瞰して見ることです。
- この会社に、受け入れ後に育てる仕組みはあるか
- 同じ環境で、評価されている同僚はいるか
- 自分が指摘されてきた点は、毎回同じではないか
3つ目に心当たりがあるなら、相手ではなく自分の側に原因がある可能性が高いです。
よくある質問
Q. 上司を飛ばして、部門長に直接相談してもいいですか?
構いません。ただし順番と言い方には気をつけてください。いきなり上に行くと、上司との関係がさらに悪くなります。
まず上司本人に、評価の理由を聞く。それでも説明されない、あるいは納得できない。その段階で上に相談する。この順番なら筋が通ります。
Q. 上司が変わるまで待つのは、ありですか?
中小企業の場合、待っても上司は変わらないことが多いです。課長・部長クラスのポストはほとんど動きません。
数年単位で待つことになるので、それを前提に考えてください。
Q. 客先では評価が高いのに、社内で評価されません。
伝わっていないだけの可能性が高いです。客先の評価は、放っておいても社内には届きません。
帰社したときや面談のときに、自分から伝えてください。それだけで変わることがあります。
Q. 嫌われている自覚があります。改善したほうがいいですか?
するべきです。ただし媚びる必要はありません。接点を増やすことがいちばん効きます。
報告を早くする、相談を増やす、現場の状況を共有する。嫌われている相手ほど、情報が途切れると悪いほうに解釈されます。
まとめ
上司に嫌われていても、それだけで終わりではありません。ただし、楽観もできません。
- 評価は上司の一次評価のあと、部門長が並べ直し、役員が承認する
- 上司ひとりの好き嫌いですべては決まらない
- ただし昇進を会議で押し通すのは上司。交渉役が誰かは効く
- 実力があるのに上がらない人は、社内アピールと役員面談で落ちている
- 客先の評価と自己評価がずれているなら、嫌われている以外の問題がある
- 相談して何も変わらない会社は、見限る判断もある
いちばんやってはいけないのは、黙って我慢し続けることです。評価する側から見ると、何も言ってこない人は「現状に満足している人」に見えます。
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