中途入社は出世できないのか|昇進を決める側が見ている3つの力

「中途入社だから、どうせ上はいけない」

そう思いながら働いている人は、かなり多いと思います。

 

新卒で入った人たちがすでに社内で顔を知られていて、自分はゼロから。会議でも、どこか外様のような扱いを受ける。そういう感覚は、確かにあります。

 

ただ、私の会社では、管理職になっている人間の割合は中途入社のほうが多いです。

私はIT業界で19年、うち部長として6年、中堅SESで昇進を判断する側にいます。この記事では、中途と新卒で昇進にどう差が出るのか、何を見て判断しているのかを、決める側の立場からそのまま書きます。
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📌 この記事を読むとわかること

  • 中小企業で、中途入社がむしろ昇進しやすくなる理由
  • 昇進を判断するときに見ている3つの力(SESの場合)
  • 新卒プロパーと中途で、見られ方がどう違うか
  • 「中途だから無理」が本当に起きている会社の見分け方
  • 中途で昇進していった人に共通していたこと
  • 転職直後に、やってはいけない動き方

この記事の要約

中小企業では、昇進の判断材料が「出した結果」に偏ります。年次の積み上げが効きにくいぶん、中途入社でも1〜2年で逆転できます。中堅SESの部長が、昇進を判断するときに見ている3つの力と、中途が実際に昇進していった共通点を書きました。

結論|弊社では、管理職の割合は中途入社のほうが多い

先に答えを書きます。

 

中途だから出世できない、ということはありません。

少なくとも私の会社では、管理職になっている人間を数えると、中途入社のほうが多いです。新卒で入った人間が有利に扱われている、という実感はありません。

え、そうなんですか。新卒のほうが可愛がられるイメージでした
大企業だと、そういう傾向はあると思います。ただ中小企業は事情が違っていて、年次で面倒を見ている余裕がないんです。

もちろんこれは会社によって違います。年功序列が強く残っている会社なら、中途が不利になることは普通にあります。

 

ただ中小企業の場合、結果を重視するケースが多いので、同じような傾向になっている会社は多いはずです。その理由を次に書きます。

なぜ中小企業では、中途が不利になりにくいのか

理由は2つあります。どちらも、会社が善意で中途を優遇しているという話ではありません。そうせざるを得ない構造になっている、というだけです。

判断材料が「出した結果」しかない

大きい会社には、人事制度があります。等級があり、評価シートがあり、昇進試験があり、研修の履歴が残っている。長い時間をかけて人を見る仕組みが整っています。

 

中小企業には、そこまでの仕組みがありません。

 

だから何で判断するかというと、売上と利益を出し続けられるかどうかです。ここがほぼすべてになります。

そう。判断材料が少ないぶん、結果の比重がそのまま大きくなります。これは中途にとっては有利に働きます。

新卒で入った人が10年かけて積み上げたものより、中途で入った人が2年で出した数字のほうが大きければ、後者が先に上がります。社内の歴史は、判断材料としてはそこまで強くありません。

リーダーを育てる仕組みが、そもそも無い

もうひとつは、教育の話です。ここが本質だと思っています。

 

弊社の場合、新卒にはある程度お金をかけます。研修もありますし、現場に出てからのOJTも部署ごとに 組織化されています。

 

ところが、リーダー教育・管理職教育は一切やっていません。

 

これは弊社が特別ひどいという話ではなく、中小企業ではかなり一般的だと思います。目の前の案件を回すのが先で、数年先に効く投資は後回しになるからです。

育てないなら、管理職はどこから来るんですか?
外から採るんです!ここがポイントで、育てる仕組みが無いから、必要になったら連れてくるしかない。だから中途の管理職が増えるんですよ。

つまりこういうことです。社内でリーダーを育てていないので、ポストが必要になったときの選択肢が「外から採る」か「すでにできている人を上げる」の2つしかない。

 

どちらにしても、新卒だから優先されるという理屈が入り込む余地がありません。

 

結果として何が起きるかというと、社内に「中途で入ってきて、そのまま上に行った人」の前例がたくさんできます。

 

前例があると、次も同じ判断がしやすくなります。これが積み重なって、中途が昇進することが特別な話ではなくなっていきます。

昇進を判断するときに見ている3つの力【SESの場合】

では具体的に何を見ているのか。

 

SESの場合、どれか1つが突き抜けていればいい、という見方はしていません。3つの総合力で見ています。

SESで昇進を判断するときに見ている3つの力
SESで昇進を判断するときに見ている3つの力

① 成果を出す力(品質と生産性)

いちばん土台になるのがこれです。

 

客先に入って、単価以上の成果を返せているか。品質と生産性の両方で見ます。

 

ここが無いと、あとの2つがあっても評価になりません。営業がうまくても、現場で結果が出ていなければ次がないからです。

成果って、どうやって測ってるんですか?
客先の評価が中心です。そこは客先常駐の評価は誰がどう決めているのかに詳しく書きました。

② 客先での営業力

SES特有なのがここです。

 

営業部門が別にある会社もありますが、弊社には専任の営業がいません。現場に入っている社員と、その上の課長・係長が、次の仕事を取ってくる役割も持っています。

 

だから、客先で信頼されて「次もお願いしたい」「こういう人いませんか」と言われる人は、それだけで数字を作れます。

 

技術力が高いだけの人より、技術と対人の両方がある人のほうが上に行きます。これはSESでは露骨に出ます。

③ マネジメント能力(チームで結果を出す)

最後がこれです。

 

自分1人で結果を出すのと、チームで結果を出すのは別の能力です。管理職にするかどうかの最後の判断は、ここで決まります。

 

個人として優秀でも、人に任せられない、人が育たない、という人はここで止まります。

ここで止まる人は本当に多いです!自分が一番できるから自分でやってしまう。気持ちは分かるんですが、それだと上げられません。

任せ方については部下が育たないと悩む管理職へに、私が部下を潰してしまった失敗も含めて書いています。

今の会社で昇進の見込みが立たないなら

中途でも結果で評価される会社は実在します。まずは、どんなポジションが開いているのかを見てみてください。運営元と対応範囲は、利用前にご確認ください。

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新卒と中途で、見られ方はどう違うか

差がまったく無いわけではありません。見られ方は違います。

新卒と中途で、見られ方はどう違うか
新卒と中途で、見られ方はどう違うか

中途の不利は社内の人間関係が薄いこと、有利は結果だけで逆転できることです。

 

新卒プロパーは逆で、社内に顔が利くかわりに、横並びの中で差がつきにくい。「あいつは昔からいる」という評価は、昇進の場面では思ったほど強くありません。

人間関係が薄いのは、やっぱり不利になりますよね?
不利です。ただ、これは1〜2年で埋められます。結果を出しながら社内にも顔を出していれば、そのうち逆転します。埋められない差ではありません。

「中途だから」が本当に起きている会社もある

ここまで「中途は不利ではない」と書いてきましたが、本当に中途が上がれない会社は実在します。

 

見分け方を書きます。

  • 役員と部長が全員プロパーで、中途の管理職が1人もいない
  • 昇進の基準が明文化されておらず、誰も説明できない
  • 評価面談が形だけで、結果の話が出てこない
  • 「あの人は中途だから」という言い方が社内で普通に出る
  • 社歴の長さが、会議での発言力にそのまま直結している

 

このうち1つ目がいちばん分かりやすい指標です。管理職の名簿を見て、中途出身が1人もいないなら、そこには理由があります。

 

転職前なら面接で聞けます。「管理職の方で、中途入社の方はどのくらいいらっしゃいますか」。これは失礼な質問ではありませんし、答えに詰まる会社は、それ自体が答えです。

 

面接で会社を見抜く方法は求人票と面接でブラックIT企業を見抜く方法にまとめています。

中途で昇進していった人に共通していたこと

19年見てきた中で、中途から上がっていった人には共通点があります。

最初の半年で、小さくても結果を出している

転職直後は誰も実力を知りません。だから最初に出した結果が、そのまま第一印象になります。

 

大きな成果でなくてよくて、「頼んだことが期限どおり返ってくる」「報告が分かりやすい」。このレベルで十分に差がつきます。

社内の人間関係を、後回しにしていない

中途で失敗する人の典型が、客先だけを見て社内を見ないというパターンです。

 

現場で忙しいのは分かりますが、会社からの連絡に反応しない、面談で話が噛み合わない、という状態が続くと、評価する側には何も届きません。

私も転職した直後にこれをやりました(笑)現場が面白くて、社内の会議を軽く見ていたんです。あとで痛い目を見ました。

前職のやり方を、そのまま持ち込んでいない

前の会社で通用したやり方が、ここでも正しいとは限りません。

 

「前の会社ではこうでした」が口癖になっている人は、だいたい評価が伸びません。変えるべきだと思うなら、まず結果を出してから言う。順番が逆になると、ただの批判として受け取られます。

昇進したい、と言っている

意外に思われるかもしれませんが、これは大きいです。

 

中途の場合、本人が何を望んでいるのかが見えにくい。「このまま現場でいい」と思っている人を、無理に管理職にはしません。

 

やりたいなら、面談で言ったほうがいいです。言った人と言わない人では、候補に挙がる確率がまったく違います。

よくある質問

Q. 何年目から昇進の対象になりますか?

会社によりますが、中小企業の場合は年次そのものより、結果が出たタイミングで判断されることが多いです。1〜2年で見えるものが見えてしまうので、長く待つ必要はありません。

 

ただし、現場に入りっぱなしで社内の人間と接点がないと、結果が出ていても候補に挙がりません。

Q. 40代の転職でも、昇進の可能性はありますか?

あります。中小企業はポストが足りていないことが多いので、マネジメントができる人は年齢に関係なく欲しい、というのが本音です。

 

ただしマネジメント能力が前提になります。現場要員としての採用なら、話は変わります。40代以降の立ち位置については出世できない40代はどうなるのかに書きました。

Q. 大企業から中小企業に移れば、出世しやすくなりますか?

ポストが空いている可能性は高いです。ただ、大企業で通用したやり方がそのまま使えるとは限りません。

 

中小は仕組みが無い中で自分で動ける人が評価されます。整った環境で成果を出していた人ほど、ここでつまずくことがあります。

Q. 出世そのものに興味がない場合は、どうすればいいですか?

それも選択です。ただし、SESの場合は年次が上がるほど現場要員としての需要が落ちます。

 

管理職を選ばないなら、別の形で自分の価値を作っておく必要があります。この点は管理職になりたくない人へで詳しく書いています。

まとめ

中途入社だから出世できない、というのは会社によります。そして中小企業では、むしろ逆のことが起きていることが多いです。

 

理由は単純で、判断材料が出した結果しかないからです。年次の積み上げが効かないぶん、中途でも1〜2年で逆転できます。

  • 中小企業の昇進は、売上と利益を出し続けられるかでほぼ決まる
  • SESで見ているのは、成果・営業力・マネジメントの3つの総合力
  • 中途の不利は社内の人間関係。ただし1〜2年で埋められる
  • 本当に中途が上がれない会社は、管理職に中途出身が1人もいない
  • 昇進したいなら、面談でそう言ったほうが候補に挙がりやすい

 

もし今の会社で評価が止まっていると感じているなら、中途かどうかより先に見るべきものがあります。出世できない会社員の特徴5選と解決策に、決める側から見た共通点をまとめました。

 

昇進する側の条件を整理したものは会社員が出世するために必要な3つのことに、私自身が38歳で部長になるまでにやったことはIT企業で管理職へ、最年少部長になるために実践したことに書いています。